オイシックス・ラ・大地 - 2023年3月期 第3四半期決算 | 投資家リプリーの気まぐれブログ

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オイシックス・ラ・大地の2023年3月期第3四半期の決算が

昨日2月9日公表されました。

 

当社の株価は2021年11月頃から下降トレンドに入り、

当時は5,000円前後であったのが2022年6月には

1,400円台にまで下がりました。

 

だがそこからは緩やかな上昇トレンドに入った感じで

この12月中旬に200日線を上抜け、2月9日の終値は

2,100円になっています。

 

そして昨日2月9日引け後に2023/3期Q3の決算を発表。

中身を見てみましょう。

 

 

当期決算: 売上は微増、利益は大幅減


a) Q1〜3累計の売上は前年同期比 0.1%の微増、

 営業利益は▲34%の大幅な減益。

 

 だが四半期別に見れば、売上はQ1は0.04%の微減、

 Q2は3%の減少だったのが、Q3は3%の増加に転じた。

 営業利益もQ1/Q2は各々51%減/49%減と大幅な減少だったが

 Q3は0.7%減と追いついたきた。

 

   売上と営業利益率の過去の推移は下図の通り。

 

 売上は上昇トレンドに戻ってきている。

 営業利益率は前年度(2022/3期)Q4の赤字から急回復。

 今年度のQ1~2期は黒字とは言え営業利益率は3%前後と低かったが、

 Q3は5%超に回復。

 

 

安全性: 差し迫っての不安はないが、改善が必要。

 

a) 流動比率は118%

 一般的に「余裕あり」と言われる200%には遠く、

 「厳しい」と言われる100%に近づき、前年度末の

 179%からかなり悪化している。

 この最大の原因は投資有価証券が約100億円増加した事

 (内、84億円はシダックスへの出資によると思われる)、

 及びその資金の内の60億円を短期借入金で賄った事と見られる。
 

b) 営業キャッシュフローは少なくとも過去6年間は常にプラスで

 当年度上期もプラス。

 

c) 売掛金回収期間は0.9ヵ月、在庫期間は0.4ヵ月で、危なげない。

 

d) 上記より、財務面での安全性は何か非常事態が起こらない

 限りは問題はないと思うが、非常事態が起きても

 耐えられるように改善すべき。

 その為には投資資金を長期借入金など

 すぐに返す必要のない資金で賄うべきで、

 銀行などと交渉しこの点を改善していくべきと考える。

 

 

収益性: 営業利益率は低いが、改善傾向。

 

a) 売上総利益率は前年度も当年度も48%で安定的に高い。

 

b) 営業利益率は前年度は3.7%、当年度に入ってからは

 先に述べた通りQ1は3.4%、Q2は2.6%と低かったが

 Q3は5.1%に改善。

 

c) ROEは前々年度は26%と非常に高く、前年度は12%に下がったが、

 当期の年換算値は16%に改善。

 

d) 先に述べた通り、前年度Q4と当年度Q1/Q2の収益性が

 特に低いが、その原因と現状は概ね以下の通り;

 

 ①本年1月に新物流センターの運用を開始した結果、

  物流費が増大した。

  特に前年度Q4は1月にトラブルが発生して稼働が停止し

  大きな損失を出した。

  但し、下図の通り、物流費は当年度上期末には旧センター水準まで

  低減できた(計画通り)、下期には更に下げる計画。

  (この図はQ2決算資料のもの)

  

 

 ②国内事業での会員一人当たり売上の低下。

  前年同期はコロナ禍による行動制限がこれを押し上げていたが、

  今年度は前年(下図の一番上の実線)より約5%低い水準で推移した。

  これが会員増による収益増を一部喰ってしまっていた。

  しかし、これでもコロナ前(下図の点線)よりは8%高い。

  

 

  今後もこの水準を維持できれば、会員増による収益増が

  そのまま決算改善に効いてくると期待できる。

 

 ③米宅配事業「Purple Carrot」の収益悪化。

  米でのコロナ禍収束に伴う宅配需要の下落に加えて、

  インフレによる経費増と円安による円価損失額の拡大に打たれている。

  売上/営業利益推移は以下の通りで、改善が見られない。

  

  但し、当社によれば期初計画よりは良い結果との事。

  また、当事業の売上は全社売上の 9%に過ぎず、

  他の事業が好調に推移すれば当事業の不振をカバーできる。


 

成長性: 良好

 

a) 2017/3期から2022/3期までの5年間で売上は年平均38%上昇。

 2023/3期の売上は前年比6%増の計画。

 これには、以下を折り込み済み;

 ①Purple Carrotの売上が前年度比20億円減少する事。

  → Q1〜3累計で 3.9億円(Q1で2.6億円、Q2で 1.1億円、

   Q3で 0.2億円)の減少で済んだ。

 ②国内事業の会員一人当たり売上がコロナ前水準まで下がる事。

  → 現在のところ、コロナ前より 8%高い水準で推移。

 

 現在のところは順調と言えそう。

 

c) 主力の国内サブスク事業については、以下の方策による収益拡大を図る。

 ①既存のB2Cの3事業は、需要増を取り込み会員数を年10%増やし、

  それに応じた売上増を図っていく。

 ②加えて新規にB2B事業を育成し、追加の売上増を図る。

  ⇒ 保育園に特化したミールキット事業。5年以内に年間売上100億円を目指す。

  ⇒シダックスの株式28%を取得済み。同社の医療施設や高齢者施設、

   保育園、事業所等に向けた集団給食事業などとの協業を図る。

 ③「次世代フードの製造/販売」の取組。

  特に代替タンパクは期待大。

 

 

総括;

①Q1〜3決算は前年同期比では売上0.1%の微増、営業利益は▲34%の大幅な減益。

 だがQ3単独で見ると「売上は3%増、営業利益は0.7%減」とそんなに悪くなく、

 Q1〜2より大幅に改善。

 

②売上/収益の悪化の要因だった以下の通り;

 ・物流コスト; 旧センター水準に戻せた。更に改善予定

 ・B2Cの平均単価; コロナ前より8%高いレベルを維持

 ・Purple Carrot; まだ赤字だが計画よりは良好。

 

③今後は以下事業の収益貢献が期待できる;

 ・B2Bサブスク

 ・次世代フード

 

 

という状況です。

株式市場はどう反応するでしょうか?

 

 

以上です。

 

 

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尚、この財務分析・評価は筆者個人の考え方に基づいて行ったもので、

別の見方をされる方もおられるかもしれません。

また、これはあくまで決算期末日時点での状況であり、

それ以後は状況が変わっていく可能性もあります。

さらに、そもそも株価はその企業の財務内容以外の様々な要因に

大きく影響される為、財務諸表からその企業が高く評価できたとしても

それで株価が上がるとは限りません。

また、ここでの高い評価は、投資を推奨するものではありません。

投資は自己責任でお願い致します。
これらの点を十分ご留意お願いします。

 

以上です。