今年の6月、このブログに下の記事をアップしました。
この中で「月々の収入が支出を上回っている人は、その余裕分を使って
IDECOか積み立てNISAの投信を毎月買うのがお勧め」という趣旨の事を書きました。
が、「具体的にどの様な投信を買えばいいか?」については、
皆さん個人の判断にお任せするという事で、詳しくは記載しませんでした。
でも、実際に金融機関の積み立てNISAの商品リストを見てみると
いっぱいあって、選ぶのに苦労しそうですよね。
そこで、幾つかの金融機関の商品リストを参照し、選ぶ為のポイントと
取り扱いファンドの成績などを以下にまとめてみました。
どの投信を買うか?
これは個人の判断にお任せする事には変わりないのですが、
その判断材料の一つとして活用して頂ければ幸いです。
尚、この記事は本年11月4日時点で各社のHPに記載されていた
情報を元に作成しています。
(1) 積み立てNISAとは?
積み立てNISAとは;
①毎月、一定金額の投資信託を購入していく仕組み。
その年に購入できる金額は 40万円まで(従い月33,333円まで)
②そこから得られる利益(売買益/分配金)は非課税。
但し、非課税なのは買った年から 20年間まで。
③2042年までに購入したものに適用(同年に購入したものは
そこから20年間(2061年末まで)非課税で保有できる。
という仕組みです。
例えば、2023年1月から毎月 33,333円を積み立てた場合、
積み立ての累計金額は毎年約40万円増え、2042年末まで
売らない場合は累計約 800万円分になる、という訳です。
積み立てNISAを設定てきるのは一人当たり一つの口座のみ。
一般NISAとの併用はできません。(一般NISAと選択制です)
一般NISA口座を持っている人も申請すれば翌年から
積み立てNISAに切り替えできます。
また、以下が満たされれば年内からの切り替えも可能;
・年内にまだ一般NISAを買っていない事
・切り替え申請を10月までに行う事
→ 今年はもうダメです。
また、2024年からは一般NISAのルールが変わるので
注意が必要です(詳細はここでは割愛します)
(2) どの金融機関を選ぶか?
(a) ファンドの選択肢;
金融機関によって、積み立てNISAのファンドを100以上
扱っている所もあれば、数個しか扱っていない所もあり
取り組み方は様々な様です。
ここでは、150以上扱っている下記の4つの証券会社を選び、
中身を見てみました。
この4社は上記の様に各々150〜190程度のファンドを扱っていますが、
この内の154ファンドは4社全てが取り扱っています。
1社のみで扱っているファンドは SBIが3つ、楽天が7つのみです。
各社、ファンドの種類に関してはあまり独自性というものは
意識していない模様です。
従い「ファンドの選択肢」という観点では、この4社の様に
150以上のファンドを扱っている所であれば、どこを選んでも
あまり大差はない様に思います。
(b) 手数料;
投信の手数料には以下の3種類がかかります;
① 買った時にかかる手数料;
→ 積み立てNISAの場合、どの金融機関で買ってもゼロ。
② 保有している時にかかる手数料;
→ ファンドによって異なるが、同じファンドであれば
どの金融機関で買っても同じ。
今回調査したファンドでは年間 0.09%〜1.65%
40万円保有してたら年間 400円程度〜 6,600円。
(結構差がある)
③ 売る時にかかる手数料;
→ ゼロのファンドが多いが、課するファンドもある。
これも金融機関によって差はない。
今回調査したファンドでは売る金額の最大 0.3%
40万円分を売却した場合、1,200円程度。
という事で、選択肢/手数料の両面から、150以上のファンドを
取り扱っている金融機関ならどこを選んでも大差なさそうです。
また、取り扱うファンドが少ない金融機関の場合、
何を買うか悩まずに済む点が利点と言えなくもありません。
自分で選びたいなら取り扱い数の多い金融機関、面倒だったら
少ない金融機関、という事で良いかもしれません。
尚、金融機関によってはポイント制などに力を入れてたりも
するので、ポイ活を重視している方はご自分で調べてみて下さい。
(3) 分配金;
冒頭で述べたブログの記事で、積み立てで長期投資を行うメリット
として2つを挙げています;
① ドルコスト平均法により購入単価の平均値が安くなる。
② 分配金を再投資する事により複利効果が得られる。
積み立てNISAの場合、①があるのは明確ですが、②は…
今回調べた全 192ファンド中、直近 1年間で分配金を出したのは
たったの 2つでした。
では他のファンドには複利効果はないのか?
→ 各ファンドは分配金を払っていないが、彼ら自身は
株式なら配当金、債券なら利息、REITならREIT運用会社からの
分配金(賃料の上がり)などを受け取っているはずで、それを
彼らが再投資しているはずです。
従い、複利効果は基準価格に反映されているはず、
つまり我々一般投資家は間接的に複利効果を得ていると
考えて良いと思います。
(4) ファンドの種類;
以下の様なものがあります;
① 株式のみに投資するファンド;
・日経平均、TOPIX、ダウ、S&P 500などの指数に連動するもの
・日本、全世界、北米、先進国、新興国など地域性を持たせたもの
・運用会社が独自の判断で選んだ指数や銘柄に投資するもの
② 株式とそれ以外を組み合わせたファンド(バランス型);
・株式と債券の組み合わせ、株式とREITの組み合わせ、
株式/債券/REITの組み合わせ、更に他の短期金融資産
(譲渡性預金など)や商品を組み合わせたものもあります。
→ ファンド毎にこれらの配分を決めているケースが多い。
日本/先進国/新興国の株式/債券(3x2)、日本/先進国のREIT(2x2)
計8種類の資産に投資するものを「8資産」と呼びます。
これら各々に12.5%ずつ配分しているのを「8資産均等」と言います。
→ 同じ「8資産均等」でも、ファンドによって各々の資産の
中身が異なるので、運用成績は異なります。
→ 配分によって「成長型」「安定型」などの名前が付けられます。
「成長型」は株式重視、「安定型」は債券重視のようです。
どのファンドが何に連動するか?
何の配分が高いか?
などを把握した上で、投資するファンドを選べば良いと思います。
(5) タイプ別の成績;
各ファンドを以下の通り分類し、過去の成績を見てみました。
①株式のみに投資しているファンド; 投資先の地域で分けました。
②バランス型; 株式と債券、どちらを重視しているかで分けました。
そして、11月4日時点の値段が1年前、及び3年前よりどのくらい
上がっているか、下がっているかを図示しました。
一つの点が一つのファンドの成績を示しています。
赤い線が損益ゼロ、上が含み益、下が含み損、となります。
1年前との比較;
負けているファンドが多いです。
その中で米国株のみに投資しているファンドが全て勝っています。
これは、円安の影響も大きいかと思います。
3年前との比較
殆どが勝っています。
全般的に「株式のみ」の方が「バランス型」より好成績に見えます。
「株式のみ」の中でも「米国株のみ」がやはり優秀ですね。
バランス型では2つのファンドが突出して好成績を出しています。
それ以外でも「株式重視」の方が「債券重視」よりも
好成績なようです。
(4) 個別ファンドの成績;
①日本株のみに投資しているファンド
「字が小さすぎて見えない!」と怒られそうですが、ご容赦下さい。
騰落率の記載が無いものは、開設後まだその期間を経過していないものです。
ファンド数は全部で37。
内、34が日経平均、TOPIX、JPX日経400に連動しており、
同じ指数に連動したファンドは概ね似たような成績です。
「日経平均TRI」というのは日経平均に配当を加味した指数です。
日経平均連動型は 1年前と比べて10%台の下落、
3年前との比較では7%台の上昇です。
TOPIXとJPX日経400は1年前からは概ね7%台の下落、
3年前との比較では日経平均と同様に7%台の上昇です。
残りの3つは成績はバラバラで、「大和住銀DC」というのが
一番優秀です。
②米国株のみに投資しているファンド
ファンド数は全部で14、内の13が指数連動です。
ダウ連動は 1年前との比較では11%台の上昇、3年前からは15%前後の上昇。
S&P500連動は 1年前との比較は9%前後の上昇、3年前からは19%台の上昇。
「CRSP US TMI」というのはシカゴ大学証券価格調査センターが開発した
米国株 約4,000銘柄の時価総額加重平均型の指数に連動しており、
1年前より6%前後の上昇、3年前より18%台の上昇です。
③新興国株のみに投資しているファンド
全部で12ファンド、全てが指数連動型です。
「MSCI EMI」とはモルガン・スタンレーが算出する指数で、
新興国23ヵ国の大型株・中型株 計832銘柄で構成されています。
1年前との比較は7%台の下落、3年前からは7%前後の上昇。
残り2つはFTSE (フィナンシャルタイムズとロンドン証券取引所の
合弁会社)が算出している新興国の株価の指数で、MSCI EMIより
少し成績が良いようです。
④地域を絞らずに株式に投資しているファンド
全部で37ファンド。
内、30が単一の指数に連動しており、残りは複数の指数を組み合わせたり
独自の判断で銘柄を選んだりしています。
「MSCI ACWI」とはモルガン・スタンレーが算出する指数で、
先進国23ヵ国と新興国23ヵ国の大型株・中型株 計2,484銘柄で構成されています。
1年前との比較は3%前後の上昇、3年前からは15%前後の上昇。
但し「為替ヘッジあり」の場合は円安メリットを取れていない為、
1年前との比較は17%台の下落、3年前からは5%前後の上昇に留まります。
「MSCIコクサイ」とはやはりモルガン・スタンレーが算出する指数で、
日本を除く先進国22ヵ国 の大型株・中型株 計1,333銘柄で構成されています。
1年前との比較は5%前後の上昇、3年前からは16%前後の上昇。
上述のFTSEが算出する指数に連動するものは
1年前との比較は2%台の上昇、3年前からは14%台の上昇。
それ以外のものの成績は色々です。
⑤バランス型(株式重視)
全部で22ファンド。
株式と債券だけに投資しているものと、REITにも投資しているものとがあります。
1年前との比較では 1〜2%の下落、3年前との比較では7〜8%の上昇のものが多いです。
3年前との比較ではキャピタルとPayPayが運用しているファンドが
突出して良い成績を挙げています。
⑥バランス型(株式・債券均等)
全部で26ファンド。
株式と債券だけに投資しているものと、REITにも投資しているものとがあります。
1年前との比較では 1%未満の下落、3年前との比較では5〜6%の上昇、
というものが多く、株式重視型より変動が小さいように見えます。
その中でもドイチェのものは成績が良く、楽天のものは悪いように見えます。
⑦バランス型(債券重視)
全部で16ファンド。
株式と債券だけに投資しているものと、REITにも投資しているものとがあります。
一つだけ、短期金融資産にも投資しているものがあります。
1年前との比較では 2%台の下落、3年前との比較では2〜3%の上昇、
というものが多く、株式重視型や均等型より成績が悪いようです。
⓼バランス型(比重が判らないもの、或いは、債券を含んでいないもの)
全部で28ファンド。
上記⑤⑥⑦と同じ構成だが株式と債券どちらを重視しているか判らないので
この分類に入れたのが22ファンド。
株式とREITだけに投資し、債券は含んでないものが4ファンド。
残り2つは何に投資しているか調べられなかったものです。
成績は色々です。
上記、11月4日からの1年と3年とに期間を切ってファンドのタイプ別に
成績を見てみました。別の期間で切れば全然違う姿になるかもしれません。
また、上記の成績はあくまで「過去」のもので、今後の成績は
過去とは全く異なるものになるかもしれません。
とはいうものの、積み立てNISAにどういうファンドがあるのか?
過去の成績はどうだったか?
などを知っておくのもファンド選びの参考になるかもと思い、
この記事を書きました。
上記には筆者の勘違いや記入ミスなどがあるかもしれません。
実際に投資される際は、データを自分でチェックの上、
自己の責任と判断により行って下さい。
皆さんに爆益あれ!