地銀について | 投資家リプリーの気まぐれブログ

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株式投資に関して気になった事、調べた事などを気まぐれにアップしていきます。

昨年10月に地銀について纏めたものをnoteにアップしました。

当時の内容そのままですが、このブログでも再掲します。

 

菅総理の掲げる目玉政策の一つに「地銀再編」があります。
再編=買収⇒株価上昇?と思い投資対象と見ていいのかな?と思うの
ですが、今まで地銀に全く興味が無かった事もあり、どんな業界でどんな
銘柄があるのか全く分かりませんでした。
そこで地銀について調べ、簡単に纏めてみました。

 

(1)銀行の種類:
銀行法が定める「銀行」には以下の様なものがあります。

(a) 都市銀行(都銀): 
 広く全国に支店網を張り巡らせている銀行です。
 当初は13行ありましたが、合併を繰り返し現在は三菱UFJ、三井住友、
 みずほの「メガバンク」と呼ばれる3行とりそなグループの2行、
 計4グループ5行が「都市銀行」に集約されています。
 この4グループが上場されています。
 (りそなグループの埼玉りそな銀行を地銀に分類する場合もあります)

(b) 地方銀行(地銀):
 特定の地域に経営資源を集中している銀行です。
 その成り立ちから「第一地銀」と「第二地銀」とがありますが、
 業務内容は特に違いません。そもそもの地方銀行が「第一地銀」
 元々の相互銀行などが形態を変えたものが「第二地銀」です。
 2020年10月1日時点で、第一地銀が63行、第二地銀が38行、計101行
 あり、内92行が78の上場企業に属し、9行が独立した非上場企業です。 
 
(c) その他の銀行:
 詳細は割愛しますが、通常の銀行業務の他に信託業務を主業務とする
 「信託銀行」や実店舗を持たない「ネット銀行」他に「外国銀行の支店」
 などがあります。

 

 

(2)都銀・地銀の規模比較と業績推移:
上場している都銀は4グループ5行、地銀は78グループ92行。
この2020年3月期の総資産合計は1,237兆円、年間経常収益(売上に相当)は
23兆8千億円に上ります。この内訳は以下の通りで、78もある地銀グループ達がたった4グループの都銀達に大きく水をあけられています。

地銀都銀比較グラフ

これら上場している地銀78グループの内、再編等により過去のデータが欠落している9グループを除いた69グループの経常収益(売上)と経常利益率の
推移を示したグラフが以下の通りです。
売上は2016年3月期から2019年3月期までは年平均5.1%の成長率で順調と
言えましたが、2020年3月期には成長率は0.8%に下がり頭打ちの印象、
更に2021年3月期はコロナの影響もあり11%下がる見通しです。
一方、利益率は年々明確に下落しておりテコ入れが必要です。

 

地銀売上利益推移グラフ

 

これら地銀の資産規模と儲ける力に相関関係を示したのが次のグラフです。
横軸は2020年3月期の総資産、縦軸は過去5年間の経常利益率平均値です。
多少のバラツキはありますが「資産が大きい程、利益率は高い」という事を示しているようです。

 

地銀総資産利益率グラフ

 

銀行の様に規制の多い業態では規制に対応する為の本部機能が大きくなる
傾向にあり、営業規模が小さいと本部経費を吸収し難い事が原因と推察されます。売上が頭打ちな一方で利益率が年々下落している地銀、このテコ入れの為には再編、即ち統廃合による売上の拡大と組織の合理化が不可欠と考えられます。

 

 

(3)再編のシナリオ:
菅内閣がどの様な再編を考えているか、またそれに各地銀がどの様に応え、
どのように再編が進んでいくか? 
以下は筆者の推測です。選択肢としては以下の(a)(b)があります。

(a) 全国の地銀を多数買収して全国ネットを構築する:
SBIが考えている戦略はこの方向のように見えます。
SBIが投資した地銀は島根銀(34%)、福島銀(17.9%)、筑邦銀(2.9%)、
清水銀(2.5%)の4行で、地域はバラバラ、しかも地銀78グループ中、
総資産規模が第61位、72位、73位、78位の小規模行ばかりです。
この規模の銀行を連ねて全国網を作って巨大な都銀に真向勝負を挑んで
果たして勝負になるのでしょうか?


しかも出資比率も2行は3%未満で経営への影響力はおろか帳簿閲覧権も無いと思われます。
あの資金力豊富なSBIをして、(a)のアプローチではこの程度の事しかできていません。
勿論SBIの事ですから筆者などが考えも及ばない深慮遠謀があるかもですが、筆者としては(a)が賢明なアプローチとは思えません。

(b) 同じ地域の地銀を統合し、地域に特化しサービス深化を図る:
いわゆる「地域ドミナント」戦略です。
全国ネットの都銀に対し地域に根差した地銀の強みを活かす為にはこの
戦略こそが取るべき戦略だと思います。この場合は、(a)の戦略に比較し、
必要な資金量も限定的だと考えられます。

この場合、地銀再編は「各地域で大きな地銀が小さな地銀を飲み込む」
という形で進められると推察できます。


即ち「比較的大きな地銀がある地域で、市場が被る小さな地銀」
こういう地銀が次の再編ターゲットになる、即ち買収ターゲットになる
かもしれません。

この仮定に当てはまる地銀がどこか?
これを探る為に地銀を地域毎にリストにしてみました。
複数の地域を地盤とする銀行は、本店所在地の地域に入れています。
時価総額、PER、PBR、配当利回りは2020年9月25日の株価ベース、
総資産と純資産比率は2020年3月末の数値で、金額は億円単位です。
売上増加率は2020年3月期の前年比、経常利益率は2020年3月期の数値です。
尚、銀行のBIS規制に「自己資本比率」という数値がありますが、これは一般企業の自己資本比率と算出方法が異なります。ここでの「純資産比率」は
BIS規制での自己資本比率ではなく単純に純資産を総資産で除した数値です。

 

地銀リスト北海道東北

地銀リスト関東

地銀リスト北陸信越

地銀リスト東海近畿

地銀リスト中国四国

地銀リスト九州沖縄

次の再編ターゲットはどこになるか、このリストを見ながら推察してみる
のも一興かと思います。よかったら活用して下さい。

 

 

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