んーーと、久々にちょいと原発関連ネタでございます。

というのも、twitterで
「福島県庁職員が子供たちよりも優遇されている!!」
という怒りの声が上がりまくり、県庁に電凸している人まで出始めている模様。
まあまあ、ちょっとお待ちくださいな。

なので、ちょいと急ぎでblogアップします。


僕の知る限り、最初にこれを拡散された方は

「あまりにもふざけた話で頭に血が昇って言葉になりません」

と書かれています。確かに数字だけ見てカーッと頭に血が上って判断できなくなったのかも。。。

問題の出典はこちらです。

https://twitter.com/Fsokai/status/255684288132046848/photo/1/large

ざくっといいますと、福島県で行っている「学校給食まるごと検査事業」というものがあります。給食内に含まれる放射性物質を丸ごと検査するというプロジェクトですが、こちらの測定における現在の検出限界値は10Bq/Kgとなっています。

ところが、この10月から、福島県庁の食堂でも食品中の放射性物質の継続測定を開始することになりました。そのチラシの画像が載っているのですが、その検出限界値が「1Bq/kg」と記載されています。

この数字を見て、

「い、い、い、1Bq!!学校給食でさえ10Bqなのに、県庁職員はそれよりずっと低い1Bq?!うーん!!」

と卒倒されたようですが。

ああ、ちゃんと読まれていないのだろうな、と。

このツィートに反応して、多くの方が「信じられない!」「公務員は子供たちよりも自分の方が大事なのか!」と多くの怒りの声が上がっています。それらの方もあまりこの内容を読み込んでいないのではと思います。



とにかくこの2つ、検査内容も目的も全然違うのです。



学校給食まるごと検査に関しては、実際に作った給食を丸ごと測定機にかけ、その計測値がある値(国の基準値よりも十分小さい値です)を超えていた場合にはその提供を中止します。検査結果は給食開始前には通達されます。
つまりは、「万一の場合に子供たちが危険なものを食さずに済むための手立て」なのです。
事前チェックなのです。


一方、10月から福島県庁で行うと言っている検査。これは、一週間提供した食事をすべてまとめて後から一括検査をして、その放射性物質の量を調べよう、というものです。
万が一、この結果でとんでもない値が出たとしても、それらはすでに職員のおなかに入ってしまった後。
つまり、職員の安全を守るための検査ではなく、「安全を確認された地元食材で作った食事を食べ続けたらどういう値になるか、県庁食堂をサンプルにして調査しましょうと、そういう趣旨なのです。
子供たちよりも公務員が大事、どころか、「俺たちをモルモットにするのか!」と勘違いして怒りだす職員がいても不思議はない。そういうレベルなのです。


そういう訳ですので、怒る前にもう少し、内容を理解してください。
その結果、それでも納得できない部分があるならば電話問い合わせをしてもいいですが、よく理解せずに県庁にクレーム電話を入れるのはくれぐれもやめてください。かなり迷惑な行為です。

それと、一部には検出限界の意味をよく分かっていらっしゃらない方もいらっしゃるようです。
検出限界というのは、それ以上小さい測定結果は誤差が大きくて数値として信用できないから「検出限界未満」として数字の評価をしない、というラインです。

この精度を上げるには、機械の種類や測定環境などもありますが、測定時間もあります。長い時間測定すれば精度の高い測定結果が得られるのです。
学校給食の場合は測定時間が15分となっています。この時間をもっと長くすれば精度を上げることも可能かもしれませんが、そうすると給食の時間に間に合わなくなります。そこで15分で10Bq/kgという検出限界を妥当と定めたのではないかと思っています。

一方、県庁の方は特に時間制約がないので長めに測定しているのではないかなあ、と。

このあたり、各機種の特性など調査している時間がないので、どなたかコメントいただけるとうれしいです。