ロックにインド音楽の要素を持ち込んだことで知られるビートルズのジョージ・ハリスン。

 

 

特にNorwegian Wood (This Bird Has Flown)で聴かれるシタールはよく「初めてシタールを用いたロック」とされているが、実はそうではなく、同じイギリス出身のバンド、キンクスが初めてである。

 

ジョージは後日、シタールの巨匠ラヴィ・シャンカールに師事し、シタールの腕を上げていく。

更にインド音楽への造詣を深め、ロックとインド音楽の融合を進めていく。単にシタール弾いてただけではないのである。

 

ここでタイトルの「ジョージ・ハリスンのシタール問題」。

あちこちで当たり前のようにこんな記述が目立つ。

ビートルズのジョージハリスンの使用で一躍有名になったこのエレクトリックシタール。

ワタナベ楽器店ウェブサイトより

 

真っ赤な嘘です。楽器屋の説明がコレである。こんな楽器屋、質が知れますなあ。潰れてしまえ。

 

ジョージがエレクトリック・シタールを録音に用いたなんて絶対に有り得ないのである。時系列に整理すると、

 

・ジョージが初めてシタールに出会ったのは1964年、映画「Help!」の撮影のセット。その後イギリスのインド雑貨の店で安物のシタールを購入。

 

・Norwegian Woodにシタールのオーバーダブが録音されたのが1965年10月21日(あら、53年前の明日か。明日書きゃよかったw)。

 

・そしてギターメーカーのダンエレクトロのヴィンンセント・ベルがエレクトリック・シタールを開発したのが1966年。

 

だから録音当時存在しなかった楽器を演奏に用いるなんて出来るわけがないのである。

 

勿論、彼がその後入手した可能性は否定できない。

ただこの楽器は正直言って使い物にならない。私も20年ほど前に復刻版を購入したが、鳴りは悪いし、頑張ればそれなりの効果はあるがシタールの代用になんかならない。だからたとえ彼が手にしたとしても使うことはなかったであろう。

 

だって彼のシタールの腕前は目を見張るぐらい上達していて、こんなダメダメな楽器で苦労するよりは本物一発で最高の演奏が出来たのだから。

 

どうしてジョージがエレクトリック・シタールを使用したなんて大嘘が今だにまかり通っているのか。

前述のように楽器としてはどうしようもない代物なので、売るためのキャッチコピーだったのかも知れない。

 

しかしちょっと調べればわかるはずなのに、多くのサイトでほぼ盲目的に「ジョージが〜」って書いている現状は、個人的にはあまり好ましくない。

 

参考までに、ジョージのシタールの演奏についてはビートルズ聴いてください。

って言うのはここまで読んでいただいた方にはあまりにも不親切なので、短めの演奏(というか軽いチューニング)をご覧ください。