『物語のつづき』
抜去後、数日が経ち尿道のチューブも点滴も外れ、胸の痛みは
まだ残存しているものの動ける様になった。
このタイミングを見計らって、呼吸器の医師がボクの所を訪れる。
「岡田さん、こんにちは。今いいですか?」
「はい。大丈夫です。」
すると医師は、写真を取り出しボクに見せ、話し始めた。
「これが、岡田さんの肺なんですけど・・・」
「えっ!?ボクのですか!?」
それは、ボクの脇の下から挿入したカメラで撮られた画像だった。
自分の身体の中を見る事なんて、今まである訳がなく、しかも
言ってみれば内臓の写真なんて見た事もない。
その不思議な感覚と内膜のキレイなピンク色に、一瞬目を奪われた。
「肺が今しぼんだ状態なんですが、このピンクの正常な組織と、この辺の
ちょっと色が変わっている所あるの分かります?」
写真を指差しながら、医師は説明をする。
「はい。分かります。」
変色している箇所は、少しグレーに近い色をしていたり、赤みを帯びて
いたりしていたので、ボクでもすぐに分かった。
「その変色している組織を、2箇所切ってきてるんです。だから正常な
組織1箇所と、異常と思われる組織を2箇所の計3箇所になりますね。」
「はい。」
「それを今、病理検査に出して調べているんで、結果はもう少しで分かる
と思います。」
「そうですか。」
「また、分かったら説明しますね。」
「あっ、はい。」
「岡田さんが落ち着いてきたんで、今日は、手術の内容だけ伝えに
来たんです。」
「はい。ありがとうございました。」
「何か聞きたい事あります?」
手術の事よりも、胸の痛みがどれくらいで退くのかが気になっていた。
「あの、いいですか?」
「はい。」
「この胸の痛みって、いつまであるんですかね?」
「あ~それですね~・・・手術の時に、身体を横にしなきゃいけなくて、
安定させる為に前と後ろからプレスして固定するんですよね。だから
身体も長い時間無理な姿勢をさせられてるし、プレスも締めすぎていない
と思うんですけど、チューブの件もあるし・・・長い人で半年くらい違和感が
あるって人も居るから、一概には言えないんですよね。」
「そうなんですか?」
先は長そうだ。