『物語のつづき』
ボクは、斜めに起こされたベッドにもたれかけジッとしている。
「じゃぁ、右手を頭の方に持っていって動かさないで下さいね。」
指示に従い、右腕をバンザイするようにしてベッドの頭の部分を握り、
動かさない様にした。
医師は、まずチューブとボクとを縫い合わせている糸を切り、抜糸する。
ブツッブツッって切ったり抜いたりしてるのが、痛みは無くても身体を
伝って振動で分かる。
抜糸が済むと、次にチューブを抜去する。
「今からチューブを抜いて行くんですですけど、息を吐いて途中しばらく
息を止めてもらいますんで、ちょっと頑張ってくださいね。」
「止めてる時間って長いです?」
「そんなに長くは無いですよ。どうかしました?」
「レントゲンで『息止めて』ってのが、結構辛い時あるんで。」
「大丈夫ですよ。すぐ終わりますから。」
「じゃぁ、合図出しますんで合わせて下さいね。」
「分かりました。」
「少し大きく息を吸ってぇ・・・吐いてぇ・・・」
言葉に合わせて呼吸をする。
「もう1回、吸ってぇ・・・吐いてぇ・・・止めて。」
息を吐いて、肺がしぼんだ隙に医師はチューブをゆっくりと抜き去る。
ボクは、息を止めている。
そして、絆創膏の様なテープを取り出し、フィルムを剥がし始めるが
上手く剥がせずに手間取っている。
ボクは、まだ息を止めている。
医師は、ようやくフィルムを剥がせた。
「先生、まだ止めてなきゃいけないです?」
「もうちょっとです。」
息を止めてるのに限界が来ていた。
フィルムを剥がした絆創膏の様なテープを、チューブが挿入されていた
切り口に貼り付ける。
それと同時か、少し早く息を吸ってしまった気がした。
「はい。いいですよぉ。」
ボクは、息を吸った。