『物語のつづき』




「フー・・・ぅあっ!はぁっ!・・・フー・・・ぐっ!・・・」




ベッド移動が済み、点滴の移動の間、ボクは息を吐きながら


身体を落ちつかせていく。




完全に移動が終わると、病棟へ向けベッドが動き始める。




今回は、集中治療室の看護師にお礼を言える余裕もない。




「うっ!あぁっ!・・・」




ベッドの些細な振動でも痛みが走り、顔が歪み、息を止めて


痛みを堪える。


が、『息を吐く』って言葉が浮かび、改めて息を吐く。




「はぁっ・・・フー・・・うっ・・・フー・・・」




集中治療室の扉が開くと、おやじが待っていた。




「大丈夫か?」




ボクの痛みで歪んだ顔と、青白い顔色を見て心配したんだろう。




ボクは、小さくうなずく。




「そら痛いわなぁ、手術したばかりだから・・・。」




独り言の様に、おやじはつぶやいた。




集中治療室にいた時に預かっていた荷物をおやじは受け取り、ボクらの


後を付いてくる。




そして、入った部屋は前と同じ部屋で、同じ場所だった。




『これなら、荷物をわざわざ片付けなくてもよかった。』一瞬、そう思った。




手術後、集中治療室に入る時は、一回荷物を整理して部屋を空に


しなくてはいけなく、ボクは前日に看護師に手伝ってもらい、車椅子を


台車代わりにして1階のコインロッカーまで預けに行っていた。




ただ、『またこの部屋になるって決まっていた訳じゃないし』とも、すぐに


思い直した。




ベッドが固定されると、看護師がボクに問いかける。




「大丈夫?何か用があれば、遠慮なく呼んでね。」




そう言うと、ナースコールを手元に置き部屋を出て行った。




おやじは荷物を置き、棚に置こうとする。




「おやじ、頼みがあるんだけど。」




まだ人工呼吸の名残があり、枯れた声でおやじを呼ぶ。




「おぅ・・・なんだ。」




「その荷物の中にコインロッカーの鍵があるから、預けた荷物を


取ってきて欲しいんだよね。」




「ロッカーな。場所知らんのだけど。」




簡単に場所を説明した。