『物語のつづき』
さらに奥へ進んで行き、車椅子は右側の部屋に入った。
「はい。じゃぁ、ここですねぇ。」
手術室担当の看護師が、何気なく冷静に発した。
それに反応し、部屋を見渡すボク。
冷たく、重いイメージは変わらず、全てが始めてみる物ばかりで
緊張より、少しの好奇心が湧く。
手術台に近づくと、執刀する呼吸器外科の先生が待っていた。
「遅くなってゴメンナサイね。今日はよろしくお願いします。」
「とんでもないです。お願いします。」
周りには、助手になるのか看護師になるのか分からないが、準備を
始めている。
車椅子から降り、手術台には自分で踏み台を上り横になる。
自分から手術台に上るイメージなんて全く頭に無く、これもまた
新鮮っていうか、発見だった。
その時、ボクの主治医がやってきた。
「岡田さん。」
「あれっ!?先生が手術してくれるんですか?」
「違いますよ。様子見に来たんです。」
「何やっ!!ちゃうんかいっ!!」
思わず、反射的に関西弁のツッコミを入れてしまってた。
「あははっ!!頑張ってくださいね。」
「ありがとうございます。」
ちゃんと手術台に横になると、心電図が付けられ血圧も計測される。
上を見ると、ドラマでよく見る手術用の大きな円盤の照明が、出番を
待っているみたいだった。
「じゃぁ、点滴入れていきますね。」
そういうと、ボクの左腕に刺さっている点滴の連結部分で、何か
し始めた。
ボク自身、意識ある状態でこの場にいるのが初めてで、経験が
ない分段取りが読めず、何をしてるのか何をしていたら良いのか
が全く分からない。
そもそも、患者は何もしないのが常識なんだけど。
すると、次第に目の焦点が合わなくなってきて、目が回ってきた。
『あれ?何かおかしい』
『ここへ来て、体調が悪くなってきたのか?』
どんどんおかしくなってきた為、先生に問いかける。
「先生、今何かやってます?」
「どうかしました?」
「何か、目が回ってきて・・・。」