『物語のつづき』




中へ入ると、そこは明るくて10畳くらいのスペースだろうか、何もなく


角にベッドが2台置かれているだけだった。




一旦ここで、患者の確認をするための場所なのだろうか、ボクたちが


中へ入ってすぐに、手術室の看護師が2人近づいてきた。




「今日は、よろしくお願いしますね。手術室担当させて頂きます。」




「お名前と生年月日を確認させてください。」




ボクの返答と、右腕に付いているリストバンドを確認する。




「はい。間違いないですね。」




そう言うと、病棟看護師からレントゲン等の入った資料を受け取り、


看護師同士の伝達が始まる。




「今回は、右肺の生検・・・と。」


「ICUに持っていく荷物はこれでいいのかな?」




「はい。そうです。」




「それ、ここに置いておくね。」




角にあったベッド付近に紙袋を置いた。




「あっ!そのサンダルも、もうこっちに変えて荷物に入れて


おきましょうか?ここまでしか履けないしねぇ。」




「分かりました。」




「じゃぁ、岡田さん。サンダルを、これに履き替えましょう。」




新たにスリッパに履き替えて、今まで履いていたサンダルは


集中治療室に持っていく紙袋の横に添えられた。




「では、行きましょう。」




手術室担当の看護師が、車椅子に手をかける。




「岡田さん、頑張ってね。いってらっしゃい。」




病棟看護師が、笑顔で手を振る。




検査目的の手術だから、大手術という訳でもないのに、ここまでの


患者への心遣いをして頂けると、心が安らぐ。




仮に、大手術だったとしたら、その一言がどれだけの勇気となり、


不安を和らげるだろう。







そして、手術室へとつながる奥の扉が開かれ、ボクは車椅子のまま


中に入る。




そこは、冷たい空気が流れ奥に長く廊下が続き、左右に各手術室


があり、関係する器材や部屋全てが今までに見た事のない


『銀の世界』だった。




あまりの部屋の多さに、看護師に手術室が何部屋あるか聞いてみた。




「ねぇねぇ、これどんだけ部屋あるんですか?」




「えぇ~10部屋くらいあると思うけど、数えた事ないねぇ。」




「そんなあるんですか!手術室って、ひとつしかないと思っていましたよ。」




ボクの車椅子は、奥へと進んで行く。