『物語のつづき』




ここの病院は、その根底にある精神がしっかりと教育され、


徹底されているんだろう。




職業としてではなく、『人』としての心遣いや温かみが溢れている。




だから、お互いの信頼関係が自然と築きあげられていくんだろう。




ボクは今、はっきりとした原因がつかめずに、主治医を始め


各先生方を悩ませている。




看護師たちも、日常会話をしに来てくれたり、退院後の事などの


心配もしてくれとても感謝している。




今回の『生検』で、有用な情報が得られれば、ボクだけじゃなく


主治医や看護師たちの苦労も報われる。







ボクは、同意書に全てサインし、複写になっている2枚目を各1枚


ずつの計4枚いただき、診察室をおやじと共に出る。




「これで、何か分かってくれるといいのになぁ。」




おやじが、ふとつぶやく。




「そうだね。・・・まぁ、手術しても1週間後にしか分からんしね。」




何とでもなるよって、言わんばかりに軽く答えるボク。




「じゃぁ、おっ母退院だから、迎えに行って来るわな。」




これから、入院しているおふくろの所へ、おやじは病院のハシゴだ。




「いってらっしゃい。ありがとうね。」


「今度手術の日は夕方からだから、またお願いね。」




「はいはい。了解了解。」




おやじは、正面玄関のバス停へと向かい、ボクは、ゆっくりの


足取りでエントランスを抜け、エレベーターに乗り病室へ帰った。







先生との話は1時間も掛からかった為、する事もなくなりテレビ


でも見ることにした。







病院を出たおやじは、バスが来るまでの間煙草を吸い、時間を


持て余していた。




バスが来ると、煙草の火を消し、バスに乗り込む。







おふくろは、最早元気で何事も無かった様に、退院の荷造りを


していた。




おしゃべりの好きなおふくろは、今日受け持ちの看護師と


しゃべったり、ナースステーションに行って、お礼を言っていた。




「まぁ、お世話になりましたねぇ本当に。ありがとうございました。」




「いえいえ、良かったです。お大事にしてくださいね。」


「お迎えは、お父さんが来るんですよね?」




「今ねぇ、息子の病院まで行ってて、もう来ますよ。」




「そうですか、息子さんも早く良くなると良いのにねぇ。」




「それが、原因が分からんって、また手術して何か採って来て


調べるって言ってねぇ。その話を聞きに行ってるんです。」




この病院でも、ボクの話が浸透してた。