『物語のつづき』



受付に伝えると、『中待ち合いでお待ちください』と中へ通され、長椅子に腰掛けて待つ。






「岡田さん、岡田高幸さん中へどうぞ。」



診察室からマイクを通し、中待ち合いのスピーカーから聞こえて来た。



横開きの扉を開け、おやじと2人で診察室へ入って行く。



椅子がひとつしか用意されていなく、急遽もうひとつ用意してくれた。



2人共に座り落ち着いた頃、今回の手術執刀医になる先生が話を始める。



見た所、今ボクの主治医と同じ位の年代で若く、ボクより若いかもしれない。



おやじは、耳が聞こえ辛いので先生の側に寄って聞こえやすくする。



「こんにちは。」



「よろしくお願いします。」



「今回の手術は、肺腔鏡下肺生検と言って、判断のつかない疾患に対して直接組織を採取して原因を探すと言う治療ではなくて、検査なんですね。」



少し先生の声が小さく感じたので、おやじに確認してみる。



「おやじ、聞こえとる?」


すると『おぉ聞こえとる。』と答え、スキューバダイビングで水深深く行った時に必ずやる『耳抜き』と言えば伝わるだろうか?

おやじは、聞こえ辛くなってくると必ず『耳抜き』をする。



「先生、スミマセンがもう少しだけ大きく話してもらえませんか?」



ボクが先生にそう話すと『あぁスミマセン。分かりました。』と快く了承してくれ、説明書に絵や文を描きながら説明を再開する。



「ご本人は、一度説明を聞いたと思いますが、肺の影がレントゲンやCTを撮る度に移動してるんですよね。」


「普通考えられない事で、それが解せないから今回の検査に踏み切る訳なんですけど…」



「場所が変わるって事ですよね。」



主治医や先生も不思議だろうが、ボクも心境は同じだ。



先生は話を続ける。



「血栓が移動して、血流を妨げる部分がその都度変わるって考えられない事もないけど、断定できませんからねぇ。」



「…。」



おやじは、黙って聞いている。



「そこで、直接組織を採取して調べるんでしけど、方法は全身麻酔を使って行います。」



「麻酔の作業で30分程度。手術に1時間程度。覚醒に30分程度で、2時間程で終わります。」



「切る場所なんですが、右脇の下に3cm位を水平に2箇所と、更に下に同じ様に1箇所で、合計3箇所切る事になります。」



ボクが想像してたより時間も短く、大掛かりではなさそうだ。