『物語のつづき』



「今日、従姉が見舞いに行って会ってるんですよ!」


「そう言われましても、面会謝絶になってますんで…。」



「でも歩き回ってるって言ってて、電話する様に言われたから掛けたんだけど!」

「どういう事ですか!面会謝絶って!」



急変したのかと思う驚きと、職員の冷静過ぎる対応に苛立つ。



「失礼ですが、ご関係は?」



「息子です。」

「名前は…」

フルネームと生年月日を続けて言った。



「ちょっとお待ち下さいね。」



消灯時間になり電灯が消され、デイルームが薄闇に包まれる。



「お待たせしました。本人の希望で面会拒否になってた様です。」



「はぁ!?」



『「謝絶」と「拒否」では、違い過ぎるだろ!間違いの謝罪も無いのか!』と言いたくなったが、心を落ち着かせた。



「取り次いでもらえないんですか?」



「こちらの電話では、取り次ぎできないので。」



「じゃあ、ボクの携帯に掛ける様に伝えてもらえますか?番号知ってるんで。」



「念のために番号教えて頂けますか?」



『この人とは仲良くなれないな』と思いつつも、番号を教えた。



「ボクも今入院中で、病室に戻ると携帯に出れなくなるので、すぐに伝えて下さいね。」



後回しにされない様に、急ぎを強調する。



そして電話を切って2.3分ほどで、公衆電話からの着信が入った。



「もしもし。」



「高幸か?」



おふくろの声は少し枯れていた。



「そうだけど大丈夫かね?面会謝絶って言ってたから、ビックリしたゎ。」



「この病院は、島の人が多いから恥ずかしいし、その時しんどかったもんでね。」



「そんなんならいいけど。」



「それで…プツッ…プー…プー」



切れた。



すぐにまた掛かって来た。



「ごめん。カードが切れちゃって。」

「それで、私の事は心配せんでもいいから、あんたは自分の事だけ考えとればいいから。」



「そう言っても、心配するわ。救急車で運ばれたって聞いたら。」



「あと、手術の事もお金の事は考えんでもいいから受けなさい。」



「そういう訳にはいかん。ただでさえ負担かけてるのに、おふくろも入院して、そこにまた手術って…。」

「その手術も、悪い所を治す為じゃなくて検査だから、今すぐしなきゃいけない訳じゃない。」

「それなら、1回退院して時期を見てすればいい事だし。」



「お金は、あんたが心配する事じゃないの!」

「私は、あんたがまた同じ様に倒れて入院する事の方が心配だわ。」

「だから、徹底的に調べてもらった方がいいの。お金も、また倒れて入院する方がかかるでしょ。」



ボクは言葉を返せなかった。



「分かった。もう1回考えるゎ。」



「じゃあね。」



電話を切ると、ボクの顔が携帯の灯りに照らされ、薄闇の窓に優しく反射していた。