『物語のつづき』



翌日、朝食が終わってしばらくした頃、主治医がやってきた。



「おはようございます、岡田さん。」



爽やかな登場だ。



「あっ!?おはようございます。」



「昨日の話ですけど、どうですか。」



「…すいません。無しで。」



OKの返答が来るものと考えていた主治医は、予想外の答えに言葉が一瞬詰まった。



「…そうですかぁ。何が問題です?」



さっきまでの爽やかさは消えて、主治医の表情に曇りが見える。



「手術したとして、何も無いかもしれないなら、しない方がいいなって…。」

「その分入院期間も延びて、入院費や手術費が重むだけで、しんどい思いするだけだと思うから。」



「…そうかぁ。」



少し残念がる主治医。



「やった方がいいのは、充分分かってるんですけど、今回はすいません。」



少しの沈黙があり、主治医が口を開く。



「…分かりました。」

「他の医師にも伝えておきます。」



そう言うと、主治医は部屋を出ていった。






昼過ぎに実家へ、手術を断った事を伝える為に、デイルームまで電話を掛けに行った。



何度コールしても誰も出なかった為、おやじの携帯電話に掛けた。



しばらくコールしておやじが出ると、外に居るのが電話越しに分かった。



おやじは、この日もおふくろの病院に行っていた。



「あっ!?おやじ?家に電話しても誰も出ないから、携帯に掛けた。」



「おぉ、何だ。」



「今、どこに居るの?」



突然の質問に戸惑いながらも、おやじは答える。



「今、よそにおるだゎ。」


ちょっとオカシイと思うが追求しなかった。



「あ~そう。」

「手術の話、断ったわ。」



「お前がそれでいいなら、いいけど…。」



「また、何かあったら電話するわ。」



「はいはい。」



何とかやり過ごせたと、おやじはホッとした。