『物語のつづき』



主治医が部屋を出た後、ゆっくりと考えた。


手術した場合、その分入院期間が延びる。

手術費用に加え、延びた期間の入院費も加算される。

加入している生命保険の担保対象になるか、この時点で不明確な為、期待できない。

手術後の結果、有用な物が見付からなかった場合の事。



何故かマイナスの要素しか浮かばず、手術を受ける価値がボクには見出だせなかった。






おやじは、目を覚ましたおふくろに『また明日来るわ』と言い、病院を出た。



帰りに、駅前のスーパーに立ち寄り夕食を買う。



港に着くと、地元の島と近隣の島に帰る学生たちで賑わっていた。






ボクは夕食が終わり、お膳を下げるついでにデイルームまで電話をしに行く。



実家に、主治医から相談を受けた手術の事を話す為だ。






実家では、おやじがこれから夕食を食べようとしていた。



電話が鳴る。



「もしもし。高幸だけど。」



「おぉ…どうした?」



「今日、主治医から手術の相談があって、その報告。」



「手術?」



「そうそう。色々調べても原因が分からんから、直接肺の組織を採ってきて調べようかって。」



「まぁオレが聞いてもバカで話が分からんから、お前がちゃんと話聞いて決めよ。」



「手術しても、結果何も無いかもしれないって言われると、やる意味もないしねぇ。」



「そうだな。」



「何か見付かってくれればありがたいけど、肺塞栓の名残っぽい可能性が高いらしいから、それなら進展ないし。入院費重むだけでしょ。だから、断ろうと思ってね。」



「う~ん…見付かってくれればなぁ、いいだろうけど…。」

「金の事は気にせんでいいから、話ちゃんと聞いてお前決めよ。」



「わかったよ。またね。」


「はいはい。」



おふくろの事は、まだふせられていた。