『物語のつづき』



契約書の契約内容と約款を見ながら、保険適応になるか入念に読み、自分を当てはめていく。



契約書に記入された不担保区分を見てみる。



『疾病コード C 0』



肺ガン、肺炎、肺気腫、胸膜炎…その他の肺の疾患。



「ん?その他の肺の疾患って、曖昧だな。」

「分類が呼吸器系の疾患で、オレがかかってるのは循環器だから大丈夫なんだよな?」



「でも肺血栓で『肺』って名前付いてるしな…。」



ひとりでブツブツ呟いていると、店員が料理を持ってやってきた。



「お待たせしました『春日井セット』です。」


トレイに乗った料理を、そのままボクと『関取』の前に置く。



「ありがとう。」



「おぉ~イイね~。やっぱりこってりだな~。大丈夫かな?」

健康な時はガッツリ行ける量だけど、想定はしていたが完食は無理そうだ。



「お前足りるの?」



ふと『関取』に聞いてみた。



「足りるよ。多いくらい。」



真顔で答える。



「はぁ!?何言ってんの?」
「そんな訳ないっしょ!?入るスペースいっぱいあるじゃん。」



「本当に最近食べなくて、1日1食なんだって。」



「その1食が多いんだろ。」



「そんな事ないよぉ。」



「怪しいなぁ…。」


コントに出てくる様な、怪しく疑う様な視線を『関取』に送る。



「まっいいけど、保険あとにして、食べよ。いただきます。」



最初に食べたかったチャーハンからいただく。



「うわっ!?メッチャ旨い。久々や、こんな味濃いの。」



病院の味に慣れていた事もあり、より一層美味しく感じた。



他に餃子、ラーメンを食べる毎に『うわっ!?』『旨い!?』を言いながら食べ進める。



しかし、全て半分くらい減った所でリタイア。



「アカン。もう食えん。」

「やっぱり餃子だけは完食しよ!」



『関取』を見ると、案の定キレイに平らげてた。



「お前、足りんだろ?食べる?」



「いや!?本当にお腹いっぱいだって。」



ボクはまた、目を細めて疑いの視線を送った。



病院から持参してきた薬を飲み、少し休憩してからボクらは車に戻り、病院へ向かった。



病院へ着くと正面玄関が閉まっていた為、裏の時間外入口から院内に入る。



『関取』もクリニックで貰ったフィルムを持って付いてきてくれた。



院内はとても静かで、話している声が響く。



エレベーターに乗り、病棟3階に着くとフィルムをナースステーションで看護師に渡し、自分の部屋に向かう。



部屋に入ると、『ブックオフ』のビニール袋に入ったマンガ本がベッドの上に、置き手紙と一緒に置いてある。



手紙には、『頼まれてた本持ってきたよ。また、何かあったら連絡してね。』と書かれていた。



本当にありがたい。



『関取』には、借りていた携帯電話の充電器を返してここで別れた。



「ありがとうね。」