『物語のつづき』



親戚の『関取』が到着し、フロントまで迎えに来ると、そのまま車に乗りクリニックを出る。



辺りは夕暮れ時で、帰宅の渋滞も始まっていた。



車内では、待ってる間どこに行ってたかとか、検査こんな感じだったとか話している。






その頃、病院ではボクの友人が見舞いに来ていた。



15年位の付き合いになる元彼女で、前回見舞いに来てくれた時に『病院で笑う事が無いから』って頼んだ、笑えるマンガを持ってきてくれてた。



「あれ?おらん。どこ行ったんやろぉ。」



「あぁ…ここの若い人かね?」


同室の患者さんが声を掛ける。



「あ!はい。」



「昼過ぎにねぇ、違う病院に検査しに行くって出ていったよ。」



「そうですか。ありがとうございます。」



そう言うと、一旦部屋を出た。



看護師にどこに行ったのかと、戻る予定を聞こうと思ったが、直接電話した方が早いと思い電話をかける。



しばらく鳴らすが、電話に出ない。



部屋に戻り、頼まれた本をベッドに置き、置き手紙をして帰ろうと、持っていたメモ帳をちぎってペンを走らせた。






ボクは、検査中に着信が無かったか携帯電話を上着のポケットから取り出し、画面を見る。



1件の不在着信が表示されていて、履歴を見ると元彼女だった。



そのまま発信し、電話を掛ける。






手紙を書いてる途中に携帯電話が鳴り、マナーモードにしていなかった為、元彼女はあわてて部屋を出る。



「もしもし、ゴメン。電話気付かんかったわ。」



「ううんいいよ。」

元彼女は、かなり小声で話している。



「どうしたん?そんな小さい声で。」



「今、病院なの。部屋を出てすぐだから、携帯電話使っていい所まで移動してんの。」



「ハハハそっか。悪い悪い。」

「今な、検査で違う病院まで行ってて、親戚に乗せてもらって帰る所。」



「あぁ、同じ部屋の人に聞いた。で、看護師さんにどこに行ったか聞こう思ったんやけど、直接電話しした方が早い思って。」

「稲中卓球部全巻揃えたで。」

ようやく普通の声に戻る。


「マジで!ありがとう。」



「最後の1巻が見付からなくて、ネットで買っちゃった。」



「楽しませてもらうわ。」



「そうして。」



「まだ、戻るのに時間掛かるわ。」



「うん、いいよ。本持ってきただけやから。また、何かあったら連絡してな。」



「分かった。ありがとう。」



その後、元彼女には役場への申請手続きや、引っ越しの手伝いなど沢山助けられた。