一通り片づけが終わる頃、看護師と看護助手達が


昼の食事を配り始めていた。




ボクの部屋にも回ってきて、食事が配られる。




テーブルのセットはおやじがしてくれ、おふくろはペットボトルの


お茶を取ってくれる。




「病院のご飯って感じだねぇ。」




「そうだね。でもオレは結構好きだよ。ふたりは濃い味が好きだから


味気ないだろうけどね。」




「そうそう。」


「じゃ、わたし等もご飯食べてくるわ。」




「いってらっしゃい。」




二人は、部屋を出て行く。







食事が終わり、看護師が片付けに来てくれた。



「ご両親来てましたね。お父さん漁師さんなんですよね。この前先生が


ちりめんじゃこご両親から頂いたんだけど、ひとりじゃ食べれない


からって、お裾分けしてくれて頂きました。」




「そうだったんですか。いけないんですよねそう言うのって。」




「えぇ。断ったらしいいんですけど、『遠くから持ってきて、また持ち帰るのも


大変なんで貰ってください』って言われて、受け取ったみたいですよ。」




「強引ですね・・・。何かスイマセン。」




「いえいえ。おいしく頂きました。」




看護師は、お膳を持って出て行った。







しばらくして二人は帰って来たが、あえて先生への『お礼』の事は


聞かなかった。




二人は、あのラーメン屋で食事をしたらしく、親切に頼んだメニュー


まで教えてくれた。




どうやら、おやじの晩酌は再開した様で、昼間っから生ビールが


入ってた。




まぁ、公共交通機関の利用だし、おやじにしてみれば飲んだ内に


入らないから大丈夫だろう。







「でも、一般病棟に移って安心したから、これからそんなに来ないからな。」



「仕事に戻って、稼がないといかんし、おっ母も一人じゃ来れんから。」





「あぁ。大丈夫だよ。洗濯なんかも看護助手さんが助けてくれる


みたいだし。何かあれば連絡するわ。」





「じゃぁ、帰るわ。」


「また、来るね。」




「ありがとうね。」







二人が帰った後、会社に連絡をしようと思い携帯を取り出す。



不在着信を知らせるアイコンが画面に在り、履歴を見ると


会社から何度も連絡が入っていた。




ボクが倒れてから、親からもボクからも連絡はしておらず、


心配かけていた事に間違いは無い。




看護師にお願いし、車椅子でデイルームに連れて行ってもらい


会社に連絡をする。




「お疲れ様です。岡田ですが。」




「あっ!岡田さん?」




「すいません。連絡遅れて。実は・・・。」




事の経緯を全て話し、連絡が取れなかった事を謝罪する。




「そうだったんですかぁ。大変でしたね。でも、もう退社扱いになって


いますよ。」




「えっ!退社?」