車椅子は進み、直線距離で50m程で放射線科に着く。




看護師がボクの診察券を受付に渡すと『15番の前』で待つように


指示され、移動する。




待ち時間もそれほど無く、部屋に入る。




立つ事ができない為、車椅子に座ったままの撮影になるが、


途中『息を止める』事が苦しくて、5秒も止めていられない。




問題なく撮影は終わり、技師が車椅子を押し廊下で待っていた


看護師に引き継ぐ。




そして、来た道を戻っていく。




すると、1Fでおやじとおふくろが、さっき会った場所に立っていた。



手には、すぐ横にある売店で買ったペットボトルのお茶とBOXティッシュ


が入っているビニール袋を持っている。




看護師が軽く会釈をし、そのままエレベーターに向かった。




おやじとおふくろは、その後を付いて行く。




「待ってらしたんですね。」




「売店で買いたい物もあったんで・・・。」


と、おふくろはビニール袋を持ち上げる。







病室に着くと、ベッド脇に車椅子を横付けし、看護師は酸素ボンベの


バルブを閉め、チューブを抜く。



ボクは、自力でベッドへ移動しようと車椅子の肘掛に手を置き、


踏ん張って立ちあがり、ベッドに移動する。



点滴台をベッドの頭付近にずらし、ボクは横になった。



看護師は、酸素チューブを壁に備え付けの挿し込み口に挿し、目盛りを


調節して酸素を出す。



この時ボクは、24h3ℓ。




「はい。お疲れ様でした。」




看護師は整理が終わり、両親に会釈をすると部屋出て行く。




「ありがとうございます。」




両親も会釈を返す。







「でも、本当によかった。最初電話があった時は、びっくりしたよ。」


「ちょっと前に、電話で話した所だったのに、そんな訳ないと思った。」




ここから、おふくろのマシンガントークが始まる。







しばらくこれまでの経緯の話しが続き、少し落ち着いたのか、家から


持ってきたボクの携帯や財布、着替えなどを取り出し、TV台の棚に


置き始めた。



背が低いため、上の方に物が置けずおやじに頼んだりするが、自分の


イメージしてたような配置に置かれてなく、あっちこっちとおやじを仕切る。



おやじも、『そんなこだわる必要ないから任せろ』と、絡みが始まる。




二人とも、自分がしたいばかりだから、昔からちっちゃい事で


すぐ言い合いになってた。



よく吠えるチワワみたいで、笑える。




「入ればいいから、そんな大騒ぎせんと落ち着いてね。」




ボクの言葉に、二人は目を合わせ恥ずかしそうだった。







二人の優しい心遣いを感じた。