その後、自動車教習所に通ってるなか、他校の生徒と喧嘩をし、
翌日仕返しに集まった他校と乱闘騒ぎ。
就職も、何も考えずトランプのカードを選ぶ様に決め、島を出た。
誰も知らない所で、自由に行動したい。
何かの成功を収め、自分を認められたい。
そんな、小さく漠然とした理由だった。
営業職に就き、不思議と能力はすぐに開花する。
20歳そこそこで、一般企業の部長クラスの給与は貰っていた。
みんなに一目置かれ、嬉しかった。
数年が経ち、夢や目標になる物が消え転職をする。
再び、営業だ。
そして、すぐに成果を出し部署を任される。
数年後、同じ理由で転職。
これを繰り返していた。
一体ボクは、何がしたいんだろう。
夢って何だろう。
漠然とした物しか浮かんでこなかった。
そして、今までとは全く違う世界に飛び込む。
夜の仕事。
すごく勇気が必要だった。
営業時代、スタッフを指揮していた事が意外と役に立った。
そして、再び異例の昇進で店長まで辿り着く。
こうなると、オーナーとも直接会って話したりする事も増えてくるが、
夜の世界だけあって、オーナーは一般の方ではない。
たまに店に来ていたのは知っていたが、直接会話をするのには圧力が
ありすぎて、かなりの気合が必要だった。
ここでは、今までボクが思っていた常識が当てはまらない事もあり、
頭を悩ませた。
それが、ボクの考え方を大きく変えることになった。
人を疑う事から入る事・・・。
ボクの視線や、言動はクレバーになっていき、もう一人のボクを
作り出していった。
ただ、これも長く続く物ではない。
精神的に疲れ果て、退職することになる。
その後は、しっかりと休みが取れることを優先にして、
新たに職に就く。
ここまでボクは、世間を知らずお金の使い方も知らなかった。
親の事も考えず、自分の事ばかりが一番だった。
欲しいと思えばすぐに手を出し、後先考えずお金を使っていき、
貯金もろくにせず、実家への仕送りは全く頭に無かった。
実家へも、年に一回帰るか帰らないかで、電話もしない。
本当に、ボクはバカだった。
それに気づくのに、時間を掛けすぎた。
その間、どれだけ親に心配をかけ、苦労させ、迷惑をかけてきたんだろう
って思うと、情けなさが込み上げてくる。
これからは、その分の恩を必ず返していこうと、自分に誓った。
窓の外は、青かった空から夕暮れへと変わっていた。