翌朝、相変わらず完食できない朝食を済ませ、午前を平穏に過ごす。
昼が近づいた頃、看護師が現れ尿道に入ってる管を抜く。
「岡田さん。今からおしっこの管抜きますね。」
「息をフーって吐いててね。」
看護師の、その言葉がよく聞こえてなくて、聞きなおそうとした
タイミングで抜かれた。
「おぉっ!」
痛みは無いが、不意を突かれた感じの違和感が走り、驚いた。
「えっ?大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。」
「これで、大分楽になりますねぇ。」
「はい。ありがとうございます。」
ボクの身体を制約していた『操り人形の糸』は、点滴だけになり、
少しならゆっくりだけど動けるようになった。
そして、一般病棟へ移る準備が整い、病棟の看護師が迎えに来る。
おやじもその時間に現れ、ボクの荷物を持って待っている。
病棟看護師が、運んできたベッドをボクの寝ているベッドの横につける。
「自分で横にずれて移動できる?」
「大丈夫です。」
ずれるより、横に転がった方が楽かなって思い転がってみるが、ベッドと
ベッドの間にはまり無理だった。
「岡田さん。それは無理だよぉ~。」
看護師たちが笑う。
「そうだよね。」
おとなしく、ゆっくりずれて病棟のベッドに移る。
そして、ベッドの前後にひとりずつと、点滴を運ぶ係りの計3人の
看護師がボクを運ぶ。
「じゃぁ、行きますね。」
「あぁ、ちょっと待って。看護師さんみんなありがとうございました。
今、居ない看護師さんにも伝えてください。」
ベッドに横になりながらで申し訳なかったけど、精一杯のお礼を言った。
ベッドが動き出すと、看護師が手を振って送り出してくれる。
ボクも移動するベッドの上で、出来る限り手を上げた。
おやじは、その後を付いて行く。
そして、部屋を出るとベッドは進み、集中治療室の扉へと向かう。
一つ目の扉が開き、すぐに二つ目の扉が開く。