TVを付け、『24時間テレビ』を再び観始める。
色んなプログラムがある中、難病と闘う少年の夢、障害を持った
少年の夢など、実現されていくのがどんどん放送されて行く。
それを観ながら、心の中で『もうちょっとだ、頑張れ』って応援している
ボクが居る。
今までは、正直こういうチャリティー的な物に関心がなく、『慈善事業』
ではなく、『偽善事業』として捉えていた。
人の心の弱いところに訴え、涙を誘い自己満足をしているだけとしか
思ってなく、協力したい反面、この行為はちゃんとその人たちに
届いているのかって疑っていた。
それが、今は正面から応援できる。
『頑張れ、負けるな、諦めるな。』
その応援が、後のボク自身に言う言葉になって行くとは、
この時は、思ってもみなかった。
途中、この後の予告に出てきたのが、『みゅうの足パパにあげる』
だった。
放送時間が午後9時過ぎだった為観る事はできないが、予告だけでも
充分心打たれる内容だった。
『娘のみゅうをこの手で“たかいたかい”してあげること』
これが彼の夢。
25歳の時に発病したのは、CIDP<慢性炎症性脱髄性多発神経炎>
という慢性疾患で、10万人に1人の難病。
足が動かなくなり、握力もほとんどなくなったこの病気が、原因不明の
病で進行を止める治療しかないと知り、絶望のどん底に突き落とされる。
そんな心の支えとなったのは、妻と娘の愛情いっぱいの励まし。
その思いに応えるため、自分自身に誓いを立てる。
その中で、『みゅうちゃん』の口から出てきた言葉が、
『みゅうの足パパにあげる』だった。
短い予告の中でも、もの凄く心惹かれ、こんな原因の分からない
病気もあるんだって事を知り、驚きと、何気ない『みゅうちゃん』の言葉に
胸が詰まった。
午後、外科医がボクの股の縫合痕を見に来た。
「あっ、こんにちは~。」
「ちょっと、傷見せてね。」
この外科医は、看護師から親しまれているのか、その顔つきから
『彦にゃん先生』って呼ばれている。
もちろん本人の前では言っていない。
「大丈夫だね。じゃぁ、チューブ抜きますね。」
「本当ですか!」
看護師が、ボクに声をかける。
「息をフーって吐いてね。」
ボクは、フーっと息を吐く。
外科医はそれに合わせて、ゆっくりドレインチューブを引っ張り
抜いて行く。
そして、またフーっと息を吐く。
少しずつチューブは抜かれ、最後に『ブツッ』って音が股の方から
感触と共に聞こえた。
「よし、終わりましたよ。」
そして、今までと同じ様にガーゼを新しく張替えて出て行った。