人工呼吸器が取れてから、改めて自分で呼吸をしてみる。
今まで、普通に当たり前の様にしていた事なのに、ちゃんと
呼吸が出来てるって安心感が満ちた。
看護師も、「楽になりましたね。」とボクに微笑みかける。
人工呼吸が外れても、酸素マスクはしていなければいけない様で、
ボクにマスクが付けられる。
酸素の独特の臭いが鼻に付き、マスクの密閉感でそれに慣れる
までが少し息苦しい。
ひとつ取れると欲張りなもので、次は鼻から挿入されている
チューブがいつ取れるのかが気になる。
そして、言葉に出し看護師に聞いてみる。
「このチューブは、いつ取れるの?」
その声は、すごく小さくかすれていて、ボクの声では無かった。
「これは、まだですね。栄養をこのチューブからお腹に入れてる
ので、もう少しですね。」
ボクは、分かった振りしてうなづいてみるが、内心は少しだけ
テンションが下がる。
しかし、すぐにテンションが上がる言葉を掛けられた。
「お水かお茶飲みますか?お茶は冷たいですけど。」
全く頭に無かった事だったので、驚いたのと嬉しさで聞き直してみる。
「えっ?いいんですか?」
「いいですよ。」
看護師は微笑む。
「じゃぁ、お茶で。」
「ちょっと、待ってくださいね。」
そう言うと、看護師は部屋を出た。
少しして、お茶と氷を入れたプラスティックの急須を、くるくると
横に回しながら看護師が戻ってきた。
「はい、どうぞ。」
ボクの口に急須の先を付け、お茶を流し込んでくれた。
最初は一口ゆっくりと飲む。
「もう少し、飲みますか?」
ボクはうなずく。
次は2度、口に含みゆっくりと飲む。
久しぶりの水分に、身体が癒された気がした。