部屋に明かりがつき、看護師が「おはようございます。」
と言って入ってくる。
陽の光を感じないから、本当に朝なのかが分からない。
夜に眠れなかったせいもあり、頭が冴えないでいる。
今日も、このまま一日が過ぎていくと思うと、一日がとても長く感じる。
何か変化があるとすれば、看護師が定期的に訪れて様子を
診に来る事だけだ。
その途中、ひとりの看護師がボクに話しかけた。
「岡田さん。ベッド少し立てましょうか?」
何か変化が欲しかったので、とてもありがたかった。
しかし、いざベッドを立てようとすると、少しの傾きがボクの身体に
相当な負担をかける。
角度で言えば45度位までが限界で、そこに落ち着くまで
胸から頭にかけての独特な、圧迫されるような痛みに耐え
ながら5分程時間を費やした。
またその時に、指でベッドに文字を書き、看護師に質問をした。
「なんですか?・・・ん?・・・いつ・・・取れるの?」
文字を書いた後、ボクは口を指差す。
「あ!人工呼吸ねぇ・・・。先生から指示が出ていないから、まだ
なんだけど、もう自発呼吸できてるもんねぇ。・・・先生に聞いて
おきますね。」
もう目も覚めて、呼吸もちゃんとしてるから、すぐに取れるものだと
思ってたけど甘かった。
今まで天井しか見えなく、ベッドを少し起こし視界が広まった事で、
どういう風な部屋になっているのか知りたくて辺りを見回す。
頭が重く、首が据わってすぐの赤ちゃんみたいに、少し不安定ながらも
観察した。
しばらくして、さっきの看護師がやって来た。
「岡田さん。人工呼吸取れるの昼過ぎだって。」
~まだ、そんなに時間掛かるのか~
今すぐじゃダメなのって思いつつ、何か手順っていうか何かの数値の
加減でそうなるのかなって、自分なりに理由を付けて自分を納得させた。
そして13時頃、何となく看護師にもう一度、いつ人工呼吸器が
取れるのか聞いてみた。
すると偶然、主治医とは違う女性の先生がいて、その看護師が
ボクの事を相談してくれた。
「それなら、もう取っちゃってもいいのにねぇ。取っちゃおうよ。先生に
電話してみて。」
その先生に言われて、看護師が主治医に連絡を取り、話をしている。
電話が終わり、部屋に看護師が戻ってくると、主治医の伝言を伝える。
「まだ時間かかりそうなので、先生にお願いしてもいいですか?
って言ってました。」
それを聞いた先生は、すぐに準備を始めた。
「よし。じゃぁ、取りましょうね。辛かったでしょ。」
「口開けて、じっとしててね。」
ボクの喉から、ゴポゴポと言う音を感じながら外れていく。
「カハッ!!ゴホッゴホッ!」
ボクは咳き込む。
「はい。お疲れ様ね。楽になったねぇ。」
そう言って、先生は出て行った。