ボクは、しばらく目だけを動かし周囲を見回していた。
自分の身体。
正面に見えるナースステーション。
主治医と看護師との会話。
何が自分に起きているのか、再確認する為だ。
主治医は看護師と話した後、おやじとも軽く話をし部屋を出て行く。
ナースステーションでは2人の看護師が、ボクたちの居る部屋を見て
微笑んでる。
ボクの身体は、動かない。
さっき動かした、肘から先の曲げ伸ばしだけだ。
左腕と首から点滴をされている事と、鼻からチュ-ブが入っている事、
そして、喉にも太い管みたいなもの(人工呼吸器)が入っている事だけが
分かった。
両股の部分から出てるドレインチューブは、その時は気付いていない。
そして、不意に左腕を曲げて見てみると、左腕のほぼ3分の1が
黒ずんでいた。
~何があったんだろう。~
ショックはあったが、驚くだけの体力や思考能力が弱っていた為か、
まだ頭がぼぉ~っとしてて、その時は深く考えられなかった。
おそらく薬の作用もあって、出血時に血が止まりにくくなっているから、
採血や点滴で血管に針を打った時に、止血ができなかったんだろう。
「また、明日の朝来るから。」
その時が何時なのか分からないが、おやじは安心した様に部屋を出た。
おやじは部屋を出た後、すぐにおふくろのところへ電話をした。
「もしもし。」
「・・・はい。」
「高幸が、目覚ましたよ。」
「本当!・・・よかった。」
「ちゃんと、目も見えてるみたいだし、言葉も分かってるみたいだから
目や脳の障害は無いでしょうって言ってた。」
「そう・・・本当よかった。」
「また明日の朝、顔見に言ってくるよ。今日はサウナで泊まるわ。」
「わかった。気をつけてね。」
報告が終わると、おやじは病院を出て行った。