人工心肺から離脱してもなお、人工呼吸器は付いたままだ。
おやじが部屋に来て、ボクの横に座ると何か変化を感じたみたいだ。
この部屋の面積を一番使っていた器械がなくなり、少し
部屋が広く感じたようだ。
ボクにじゃなく、部屋の変化にっておやじらしい。
まだ器械に生かされてる感があるが、自力で鼓動を打ち、
目覚める時まで、ボクの身体は静かに準備をしている。
この頃、おやじは病院内での寝泊りを止め、24h営業している
サウナで寝るようにしていた。
実際、風呂も入れず睡眠も取れない状態が何日も続いて、
身体の疲れも精神的なストレスも溜まっていたと思う。
何かあれば、携帯に連絡がくる様になっていたから、普段家では
携帯の役目を果たしていない携帯電話も、離さず常に傍に置いていた。
主治医が定期的にボクの所に経過を確認しに来る。
循環動態も安定している。
「お父さん。経過は悪くないので、明日様子を見て麻酔を切ります。」
おやじは、突然の言葉に少し驚く。
「それは?」
「今まで、麻酔でずっと眠っててもらいましたが、悪い中でも
人工心肺も取れ、状態も安定してきましたので、麻酔から
覚めさせて、意識の確認をします。」
「意識が戻るって言う事ですか?」
「そうです。」
おやじは朗報に素直に喜んだ。
こんな嬉しい事はない。
あとは、ちゃんと意識が戻り、目を覚まして他に障害がない事を
願うだけだ。