電話を切ったおやじは、中央ホールの奥にある
自動販売機コーナーへ行き、コーヒーを買った。
何列にも並んだ中央ホールのソファーに座り、コーヒーを飲む。
ソファーの正面には、50インチ位ある大型のTVが設置されていて、
みんなTVを観たり新聞を読んでいたり、談笑していたり様々だ。
小さい子供を連れて、エスカレーターで2Fにある
チャイルド広場に向かうお母さん。
点滴を連れて散歩する患者さんや、車椅子で売店に向かう患者さん。
それに付き添う看護助士さんの手には、たくさんのお菓子や飲み物が
袋いっぱいに詰まっている。
~たくさんの人達がこの病院にいるだな。~
おやじは、ふと思った。
今まで、そんな景色に全く目が行かなかった。
それぞれ、いろんな事情を抱えてここに来てる。
受付の接し方、看護師さんの笑顔、医師の言葉に
みんな元気付けられ、この病院を頼って来てるんだ。
・・・信じよう。
おやじは、この時初めて客観的に考えるゆとりが出来た。
願う事じゃなく、信じる事。
主治医を、そしてボクを・・・。
コーヒーを飲み干し、おやじはボクの居る集中治療室に向かう。
ボクは、まだ暗い闇のままだ・・・。