小さな前進に、おやじの不安が少しずつ
氷が陽に照らされる様に溶けて行く。
そして、すぐに家に居るおふくろへ電話を掛けた。
「もしもし・・・。」
「はい。」
おふくろは、予想もしていなかったおやじからの電話に驚き、
悪い想像が頭をよぎる。
~何で、こんな早く電話が掛かってくるの?何かあったの?~
しかし、その不安はおやじの次の言葉で消えた。
「もしかしたら、明日、高幸の人工心肺が取れるかもしれないって、
先生が言ってたぞ。」
「・・・本当!」
おふくろの顔がほころぶ。
「明日の午後に検査して、状態がよかったら取れるって。
でも良くなかったらまだダメだし、手術みたいな事も
しなきゃいけないかもしれないらしい。」
先生から言われたリスクの事は、おふくろには伝えなかった。
「・・・そう。でも、よかった。」
「こんな早くに、おとうさんから電話が掛かって来たから、
高幸に何かあったんじゃないかって思って、ビックリしたよ。」
おふくろは、少し嬉しそうに話す。
「そうか。ゴメンゴメン。」
「早く伝えようと思ってな。具合はどうだ。大丈夫か?」
「あぁ、うん大丈夫。」
「じゃぁ、また何かあったら電話するよ。」
「うん、ありがとう。」
二人は、電話を切った。