おふくろは、ボクが倒れてから初めて独りになり、
その寂しさを紛らすかの様に、出掛ける準備をし始めた。
行き先は、お袋の母や、叔母達が眠るお墓だ。
おふくろは、時間が出来るとお墓の手入れに来たり、
話しかけに来たり何かと足を運んでいた。
家を出てから30分程歩き、お寺に着くとバケツに
水を汲み、お墓まで石段を上っていく。
お墓に着くと、一息ついて落ち葉を掃い始めた。
毎回やってる事だから手馴れたもので、
掃い終わると、バケツに汲んできた水をお墓に
掛け墓石を洗い始める。
そして、正面に2つある湯呑み茶碗いっぱいに
水を注ぎいれ蓋をする。
それが済むと線香に火をつけ、拝み始めた。
地域によって違うかもしれないけど、ウチでは
こんな感じ。
そして、話しかける。
「・・・お母さん、たっちゃん、みよしくん、
高幸がすごい病気になっちゃってねぇ、
助かるかわからんって言われとる。」
「・・・助けてあげてね。」
「・・・お願いね。」
おふくろの目には、涙が溢れんばかりに溜まっていた。