点滴をうち終わり、おふくろが処置室から出てきた。
「疲れから来たんだって・・・。」
「・・・そうか、じゃ帰るぞ。」
おやじは、軽く息を吐き立ち上がった。
病院を出て、港へと向かう両親。
途中スーパーに立ち寄り、惣菜やパンを買った。
夕ご飯を作る気力が湧かないんだろう。
買い物中、近所の方とバッタリ出会う。
「あら!、岡田さんこんな所で会っちゃって・・・ハハハ。
どうしたの?」
地元の人が、このスーパーに立ち寄るのは
ほとんど病院帰りか、パチンコ帰り位なもんだ。
「あぁ・・・今日はね、ちょっと買い物に来た。」
かわし方下手なんです。
この事を、あまり広げたくないんだろう。
軽く挨拶をして、すぐ別れた。
家に着くと、少し張り詰めていた物がゆるんだ
気がして、二人共しばらく会話も無く、灯りも
TVも付けずに黙って座っていた。
家は全てカーテンを閉められていて、
たった2,3日留守にしていただけなんだけど
重い空気を感じた。
「ご飯、用意するね。」
おふくろはそう言うと、灯りとTVを付け
買ってきた惣菜をいくつかテーブルに置き始める。
おやじは、お茶や箸を用意しにキッチンへ行く。
もちろん今日も晩酌は無い。