おやじがおふくろの所に戻ると、抱きかかえる様に
おふくろを起こす。
「先生に診てもらうか?」
「いい、いい大丈夫。」
おふくろは、ちょっと意固地だ。
そんな性格を分かってか、おやじは違う言葉を掛ける。
「じゃ、かかりつけの先生に診てもらうか?」
「・・・。」
おふくろは何も言わず、下を向いてるだけ。
「息子がこんな時に、お前まで倒れられたら俺が困る!」
おやじは、言い聞かせる様に静かに怒鳴った。
そして、おふくろは小さくうなづく。
「家に帰るぞ。」
おやじは、おふくろを支えながら病院を出て
タクシー乗り場に向かった。
地元には週に数回しか開かない診療所しかなく、
そこに来る先生方は、わざわざ大きな病院から
船に乗って来てくれる。
本当にありがたい。
ただ、病状によっては設備の整っていない診療所では
診る事ができず、船に乗り大きな病院まで
行かなければいけない。
おふくろの場合はその部類で、定期的に通院している。
両親は、タクシー・電車・地下鉄・再び電車と乗り継ぎ
見慣れた駅に着く。
そこからタクシーに乗り5分位で病院に着いた。