両親は、黙ってボクを見つめている。
ただ、ゆっくりと時間だけが過ぎていく。
時折、看護師がボクの様子を診に来る時だけ、TVの音量を
「消音」モードにしていたのがOFFになり、ざわつく様だった。
「岡田さん、用意して頂きたい物があるんですが、いいです?」
看護師が両親に問いかける。
「・・・はい。何ですか?」
「バスタオル2枚とオムツなんです。」
「あっ、今すぐにって事じゃないので、用意して下さいね。」
席を立ち、出ようとするおやじを制止する様に間髪入れず話した。
「わかりました。売店ってありました?」
「1Fにありますよ。そちらでも販売してるので、そこで用意されても
いいですよ。」
それを聞くと、おやじはまた椅子に座り、深い息をついた。
少しして、おやじはおふくろに「買ってくる。」と一言言い部屋を出る。
エレベーターを降り、辺りを見回しながら売店を探す。
すぐに見つかり、バスタオルとオムツを買う。
売店を出ると、昨日車で送ってくれた里奈が、子供二人を連れて来ていた。
「おぉ、来てくれたか。セイカもモモも一緒に。」
少し、おやじの顔がほころぶ。
セイカとモモは、毎日の様に家に遊びに来ていて、孫も一緒だった。
「うん。仕事休みになったしね。高幸はどう?」
里奈がおやじに尋ねる。
「良くないわ。先生に脅されてばっかりだしな。」
少し冗談っぽく、半分真面目におやじは答える。
そして、4人で集中治療室に向かった。