おやじが病院を出てから、おふくろは独りになったと
言う事もあり不安だけが大きくなって行った。
病室内は、モニターから出る発信音と、人工心肺・人工呼吸器が
作動している機械音だけが響いている。
ベッドに横たわる、想像さえもしていなかったボクの姿を
見る事はとても辛く、おやじの帰りをただ待っているだけだった。
おやじが病院へ着くともう陽が暮れており、エントランスにも
人影が少なくなっていた。
多少迷いながら集中治療室へ到着。
すぐに認定証を看護師に渡すと、疲れが押し寄せてきたのか
大きく息を吐き、壁にもたれ掛かる。
おふくろも、おやじが帰ってきたことで少し安心した様子。
「これから、どうされます?」
看護師が両親に声を掛ける。
帰るわけが無いと思いつつも、どうしたらいいのか分からない。
「ここで、寝る事はできないよね?」
「申し訳ありません。」
もちろん無理な話だろう、即答でNGが出た。
「病院内に居るんで、何かあったらすぐ呼んで下さい。」
「あっ・・・はい、わかりました。」
正直、傍に居ても何もする事ができず、主治医や看護師にお願い
するしかできない事を痛感していた。
「じゃぁ、よろしくお願いします。」
頭を下げ、両親は一時病室を出た。