私は、毎日年中の娘を幼稚園に車で送迎している。
この送迎は、現在小学1年生の息子が最年少の時から続いているから、今年で5年目だ。
迎えの時間は、仕事の終了時間によってマチマチだが、朝は基本的に毎日同じ時間に家を出る。
すると、何が起こるかというと
他人の朝のルーティーンを目の当たりにする
犬の散歩をしている人とか、コンビニで一服している人とか、「あの人、いつもいるな」というのが多々あるのだ。
こちらは車で通りすぎるだけだから、特に話したり会釈したりするわけではない。
ただ毎日見かけるだけ
知り合い以下で、普通なら特にこれといった感情も生まれないと思う。
私もそうだった。
ただ一人を除いては
園の近くに踏み切りがあり、8:23になると警報器が鳴ってバーが下り始める。
私は大抵この時間に踏み切りの前を通るのだが、その通過する電車を見るために男の子の赤ちゃんを抱っこしたお母さんが毎朝立っていた。
別に特別な電車というわけでもなく、ただのローカル線
それでも、お母さんは毎朝男の子を連れて来ていた。
最初は「電車好きの子なんだろうな」くらいにしか思わなかったが、雨の日は傘を差して、寒い日はしっかり防寒をして、その子のために毎朝そこに立つお母さんを見て、
すっかり感情移入
赤ちゃんの頃は電車が目の前を通ってもあまり表情は変わらなかったが、1歳、2歳と成長するにつれて遠目からでもニコニコしているのがわかるようになった。
かわいいなぁ
2歳からは保育所に通い出したようだが、朝は変わらず電車を見に来ていた。
ただ、3歳頃から同じ時間でも踏み切りで見かけることがなくなり、「どうしたのかな」と気分はすっかり
近所のおばちゃん
そのうち、踏み切りから30mほど離れたアパートの駐車場でその親子を目撃し、「ここに住んでいたのか」と元気そうな姿を見て安心した。
同じ8:23だったが、男の子は車に乗り込もうとしていて、今から保育所に行くことがわかる。
お母さんの出勤時間が変わったのだろうか。
それとも、もう電車は飽きてしまったとか?
色々考えていたが、別の日に男の子のリュックに電車のキーホルダーがついているのを確認
今も電車好きだ——
「よかった」と嬉しくなった。
この男の子を見守り続けて早5年
この春年長さんになり、保育所生活もラスト1年となった。
「感慨深いなぁ」と思っているが
あくまで赤の他人
名前すら知らないし、向こうは私の顔さえ知らない。
悪意はまったくないが、自宅も知っていてどこの保育所かもわかる私って…
普通に怖い人だ
でも、ここまで成長を見てきたからには、小学生になった姿もぜひ見たい。
これからも、絶対に話しかけたりはしない。
怖がらせることはしないと誓う。
娘が卒園したら、私の送迎も終了するから、もう男の子を見る機会もなくなるだろう。
だから、それまでは——勝手に見守り続けるつもりだ。
