私の初恋は、幼稚園時代の先生

 

通っていた幼稚園にいた唯一の男の先生で、ものすごく好きだった。

 

一緒に何をしたとか、何を話したとか、そういったことは全然覚えていないのだが、【好きだった】という感情だけは、よく覚えている。

 

卒園式にツーショットで撮ってもらった写真は、卒園してからも長年私の宝物だった。

 

今でも、【初恋の人】と言えば、すぐに名前が出てくるほどだから、この先もきっと忘れることはないだろう。

 

ただ、顔は曖昧で、思い出そうとしてもシルエットがぼんやりと浮かぶだけではっきりしない。

 

 

そんな初恋の先生が、現在コンビニで働いているという情報を耳にした。

 

同級生からのタレコミで、場所を聞くと家から車で20分ほどで行けるコンビニだった。

 

幼稚園教諭は辞めたのか…

会いに行ってみようかな?

 

と一瞬思ったが、すぐに「いや、やめておこう」と思い直した。

 

私が当時6歳の時に20代前半だった先生だから、今は50代になっている。

 

昔の顔がはっきりしないとはいえ、急に30歳老けた先生を受け止められるとは思えなかったからだ。

 

現在の先生の姿を直接見た同級生にも、どんな感じだったか等は一切聞かなかった。

 

思い出は、美しいままにしておこう——

 

 

ただ、このタレコミを聞いて以来、当時の先生がどんな顔だったか気になるようになってしまった。

 

実家にあるアルバムを見ればわかることだが、それをしていいものか悩ましい。

 

きっと、先生は私の中で美化されている——

 

もし写真を見たら、「あれ?」となるような気がするのだ。

 

これもまた、美しい思い出を壊す行為になるだろう。

 

だから、写真も見ないことにした。

 

私の初恋は、幼稚園時代の先生

 

先生のことが、すごくすごく好きだった。

 

初恋の思い出は、ただそれだけでいい。