初めて家族で野球観戦に行った。

 

独身の頃に集めた応援グッズ

 

クローゼットの奥にしまい込んでいたが、また使うことができた。

 

以前住んでいた家は球場まで近く、シーズン中は少なくとも10回は現地で観戦していたが、妊娠を機に行くのをやめた。

 

引っ越してからは、球場が気軽に行ける距離ではなくなったため、「もう行くことはないかな」と思っていた。

 

それが、ある日の在宅ワーク中

 

夫から「明後日の野球チケットがもらえるんだけど、どうする?」とLINEが来た。

 

青天の霹靂!仕事が手につかなくなった。

 

久々の野球観戦、想像しただけで鼓動が高まるじゃないか。

 

ただ、明後日は平日夜の試合。

 

チケットは何枚もらえるのか?子どもも行くとして、次の日の登園に支障が出ないか?

 

個人的には行きたい気持ちしかないが、親として考えるべき点がたくさんある。

 

夫に矢継ぎ早に質問LINEを送り、頭の中で色々考えながら返事を待った。

 

が、結局チケットはVIPルームのものだと聞いて、「行く」と即答。

 

だって、VIPだよ?

外野自由席や内野指定席しか座ったことのない私にとって、VIPルームは夢のお部屋。

 

行くしかないでしょう。

 

解決しなくてはいけない問題は山積みだが、もう「行く」と決めた。

 

で、後戻りできないように子ども達にも伝えた。

 

子どもは「やったーー」と喜んでいたが、たぶんよくわかっていない。

 

野球のルールを知らないのはもちろん、テレビで試合を見たこともないからさ。

 

それでも「なんか楽しそう」と思ってくれたみたい。

 

子どもは、それでいい。

 

が、今まで平日の夜に子どもを連れて歩いたことがない私たち親にとっては、チャレンジでもあった。

 

時間がない中、急いで当日の段取りを考え、準備をする。

 

日にちがあったら新たな不安が生まれただろうから、明後日の試合で逆によかった。

 

観戦当日、初めて入ったVIPルームは感動ものだった。

 

あぁ、「お金持ちはこういう世界で生きているんだな」と思った。

 

食事はルームサービスで、自ら並んで買わなくていいし、「すみません、すみません」と言いながら狭い座席の間を通って席にたどり着く必要もない。

 

エアコンのきいた涼しい部屋が完備され、外の椅子は冷風が出るようになっている。

 

ある意味、「これは野球観戦じゃない」と言いたくなるような環境だったが、子ども達は「これが野球観戦か」と目をキラキラさせていた。

 

えっと…これが普通と思ってもらったら困るな真顔

 

初めての野球観戦がVIPルームであることの弊害がちょっと心配になった。

 

行き帰りの時間で子ども達を寝させ、試合開始から終了まできっちり楽んだ。

 

最初こそ「子どもに負担がないように」と考えていたが、最終的には自分の欲を満たすために行った野球観戦。

 

もし子ども達がグズったら?夜遅くまで連れまわして大丈夫?など、懸念事項はたくさんあったが、なるようになる精神で行くと決めてよかった。

 

子ども達は終始笑顔、その笑顔を見ることができて私達も嬉しかった。

 

応援していたチームは負けてしまったけど、本当に楽しかった。

 

そんな野球観戦から、もうすぐ3週間が経とうとしている。

 

息子は、ふと思い出したように「野球楽しかったね」と言い、応援歌を口ずさむ。

 

あの日あの時一度聞いただけの応援歌を覚えているのはすごいことだと思ったが、息子曰く「集中して聞くと歌は1回で覚えられるんだよ」と。

 

このセリフを聞いて、私はハッとした。

 

あの野球観戦、ただ楽しかっただけじゃない、たった1回で歌を丸暗記できるくらい息子は集中していたのだ。

 

完全に子ども<自分で行くと決めたことだから、「子どもには負担をかけるかもしれない」という後ろめたさがあったが、自分の気持ちを優先させることと子どもに負担をかけることはイコールではない。

 

これまで私は、行く行かないの判断を迫られた時、行かない選択をする時はいつだって子どものためを思って(子どもの負担にならないように)のことだった。

 

でも、その選択によって子ども達の貴重な経験の機会を奪っていた可能性もあるのでは…?と思った。

 

良かれと思ってしたことが正しいとは限らない。

 

今回、子ども達は野球観戦という「好きなこと」が一つ増えた。

 

これは、もし私が行かない選択をしていたら、起こり得なかったことだ。

 

親の我慢が子どもを成長させるわけじゃないんだと思ったら、これからはもう少し自分の本心にも耳を傾け、柔軟に動いてみようと思った。

 

野球観戦、また行こう。