天空の蜂
先日、「天空の蜂」という東野圭吾の作品を読んだ。
あらすじは下記
テロリストに奪取され、爆弾を積んだ自動操縦状態の超大型ヘリコプターが、
稼動中の高速増殖炉の真上でホバリング。さらにテロリストからの脅迫が届く。
その内容は「現在稼動、建設中の原発を全て使用不能にしろ。
さもなくばヘリコプターを落とす」という驚くべきものであった。その上、
そのヘリコプターの中には子供が取り残されていた。
子供を空中のヘリコプターから救うことはできるのか、
政府が脅迫に対して下す苦渋の決断とは。
とまあ、こんな内容なんですが。
読み終えた後も、なぜか興奮して、たまらずこのブログを書いています。
つたない文章表現力なので、つれずれなるままに、何が心をうったのが書いてみた。
・福島第一原発事故以前の1995年の作品であり、東野圭吾はこの作品のなかで様々な
警鐘を鳴らしている。
下記引用
「原発の仕組みは、知らなきゃいけないことってわけかい?」と問われ、
「俺はそう思ってる よ。国民全員が、ある程度は学習するべきだ」と。また、
「世の中には、ないと困るが、まともに目にするのは嫌だってものがある。
原発も結局は、そう言うものの一つってことだ」とも。
無関心ではいけないのだ。原発に賛成・反対する前に、
まず原発について知らなければいけないのだ。難しいけれど、
知ろうとしなければならないのだ。
・当時かなり具体的に原発のことを調べて伝えている。
「圧力容器」「格納容器」の堅牢さに言及 (福島第一原発じゃダメだったけど)
-これがそう簡単に爆発などで破られないこと
-各種安全装置が確実に機能し、原子炉が冷却されること
一方で、
-使用済み燃料プール」の天井が頑丈でなく、プルトニウムを大量に含むこと
-日本中の原発が使用済み燃料を大量に抱えていること
-このプールが異常となったときに原子炉が最も危険であること
をも予言していた。
・最後のほうで
「原発について、国民はもっと知ったほうがいい。」
「原発に(ヘリが)落ちたほうがよかった。そのことにいずれみんな気が付く。」
と述べている。
また、天空の蜂の「蜂」とは、刺されて痛い思いをしないとわからない
という作者の気持ちらしい。
(福島第一原発で刺されましたが...)
・今この作品を、原発反対という立場に偏って書いたなら、これほど爽快感を与えてくれる作品に
はなっていなかったかもしれない。ニュートラルな立場で書かれているところがいい。
とにかく、ところどころで、心を打つ、または感心する!
福島第一原発事件以前の作品だということを念頭に置いて読むと特に...
是非一読を
この作品は、作者は一番思い入れのある作品だ、と言っているわりには、
当時話題にもならなかった、なにか外圧で黙殺されたという噂もある。