「ギフテッド」という言葉をご存知ですか?
聞いたことはあっても、どういう人たちなのかよく分からない人も多いのではないでしょうか。
また、「我が子はギフテッドかも?」「ギフテッドはどうやって判断できるの?」と悩んでいる保護者の方もいるかもしれません。
ギフテッドとは?
ギフテッド(Gifted)は、贈り物を意味するギフト(Gift)が語源となっており、生まれつき突出した才能を授かった人のことを称します。
ギフテッドは先天的な資質であるため、先取り教育などによってギフテッドに成長することはできません。
近年では、テレビや映画などでギフテッドが取り上げられることもあり、「ギフテッド」という言葉を聞いたことがなかった方々にも知られるようになりました。
著名人の中では、相対性理論のアインシュタインやマイクロソフトのビル・ゲイツ、日本では北野武や所ジョージなどがギフテッドとして知られています。
ギフテッド先進国では、ギフテッド教育が盛んに行われています。
例えばアメリカでは、米教育省が、2011~12年度の公立校の生徒全体の約6.7%、約320万人の生徒がギフテッド&タレンテッドプログラムに在籍したと発表しています。
また、日本でもIQ130以上の人は約250万人といわれています。意外とみなさんの身近なところに、ギフテッドな人がいるのかもしれません。
ギフテッドの持つ才能
ギフテッドには、知性・創造性・特定の学問・芸術性・運動能力・リーダーシップの6つの分野において才能があります。すべての分野に優れているわけではなく、この中のひとつ、もしくは複数に桁外れの能力を持っています。
ギフテッドは特定の分野には素晴らしい才能を発揮しますが、苦手な分野や興味のない分野との差が大きい場合もあります。うまくいかない部分が目立ってしまうと、ギフテッドに気づかれないケースも見られます。
ギフテッドの子どもの特徴
キンダーガーテンから12年生のギフテッドの子どもたちと家族を支援している、アメリカのギフテッド教育推進団体「NAGC(National Association for Gifted Children)」では、以下のようなギフテッドの特徴を紹介しています。
・乳児期から並外れた注意深さがある
・学習の飲み込みが早く、考えを素早くまとめられる
・優れた記憶力
・年齢に対し並外れた豊富な語彙と複雑な文章構成ができる
・単語のニュアンスや隠喩、抽象的なアイディアへの高度な理解力がある
・問題を解くのを楽しむ、とくに数字やパズルの問題が好き
・未就学児のうちに読み書を独学することが多い
・深く、激しい感情を持ったり反応をしたりする
・ものごとに非常に敏感
・考え方が抽象的、複雑、論理的、洞察に満ちている
・幼いころから理想論や正義感がある
・政治問題や社会の不平等に関心がある
・長期の注意持続時間と高い集中力
・自分の考えに耽るー空想家
・少しの練習で基本スキルを素早く習得する
・詳細を探るような質問をする
・幅広く関心をもつ(もしくは、ひとつの分野に極端に集中する)
・非常に発達した好奇心
・試したり、違う方法で行ったりすることに興味をもつ
・通常使わないような方法で考えや物事をまとめる
・頭の切れる、そして/または、特徴的なユーモアセンスがある
・ゲームや複雑な図式を通して、人や物事を系統立てたがる
・鮮明な想像力がある(未就学児期に空想の友だちがいる)
ギフテッドの児童は、学習ペースが速く、好奇心旺盛なので、周りのペースに合わせた学習や知りたいことをすぐに調べられないことにストレスを感じます。
また、同年代の児童には理解できない話をしたり、難しい本を読んだりし、クラスで浮いてしまう場合があります。
学校や担任の先生からギフテッドの児童への理解が得られ、対応してもらえるとよいですが、日本ではまだ難しい状況です。
ギフテッドの児童が楽しめる環境を
学校生活に違和感を感じていたり、学習意欲を失くしたりするギフテッドの児童には、学校以外で楽しいと感じる学習環境が励みになります。
ギフテッドの児童向けのイベントはギフテッド同士の交流もできよい刺激になりますが、住んている地域によっては参加が難しいかもしれません。
そのような場合は、プログラミングや言語など、児童の関心があるものの習いごとをするのもおすすめです。
また、独学や自分のペースで進めるのが好きな児童には、オンライン教材を利用する方法があります。
例えば、非営利団体「Khan Academy」は、無料の学習コンテンツを提供しています。未就学児から高校生を対象とし、数学や科学のほかに、歴史や世界史なども学べます。
好きなようにパーソナライズし、日本語を含む様々な言語を選ぶことができます。
保護者も支援が必要
幼いころからこだわりが強い、一般的な子どもと違うものに興味を持つなどのギフテッドの特徴に、戸惑う保護者の方も多いようです。
さらに、周りから「変わっている」「協調性がない」などと言われ、悩んでしまうケースも見られます。
ギフテッドのお子さんの才能を伸ばすためには、保護者の方への支援も重要と考えられています。
各地域で、ギフテッドのお子さんを持つ保護者の交流会などが開催されており、悩みや情報を共有することができます。
ギフテッドの知識がある教育者や医師との出会いがなく、自分がギフテッドと気づかないまま大人になったというケースは少なくありません。
中には、周りから浮くのが嫌で、自分の能力を隠していたという方もいます。
ギフテッドを知り、自分はそうだったのかと腑に落ちたという声も聞かれます。
日本でも少しずつ、ギフテッドについて知られてきています。ギフテッドに対する理解が広まり、ギフテッドの才能を伸ばしやすい環境が作られるとよいですね。