よく笑い、よく眠る。
悩みの7割はそれで解決。
笑こそ、人間の持つ
「唯一、かつ強力な武器」
『トム・ソーヤの冒険』で知られるアメリカの作家、マーク・トウェイン(1835〜1910)は、最晩年に『不思議な少年』という、それこそ不思議な作品を書いています。
この『不思議な少年』という作品は、世間一般がイメージするマーク・トウェインのイメージとは大きく異なります。
マーク・トウェインと言えば、ユーモアにあふれた楽天的な作風をイメージしますが、この作品は、なんとも暗く、気が滅入るくらいにどこまでも絶望的なのです。
ただ、この絶望的な作品の中で作者は「笑こそ、人間の持つ唯一、かつ強力な武器」だと述べています。
これは正鵠(せいこく)を射た言葉だと思います。
『不思議な少年』の主人公は、「サタン」と名乗る少年。
不思議な力を持つ彼は、親しくなった村の少年3人を不思議な世界へと誘います。ところが、少年たちがそこで目の当たりにするのは、人間の愚かさや残酷さ、無力さなど……。
物語では、サタンを通して、ひたすら人間のみじめさが描かれています。
ここには、不幸が重なった晩年のマーク・トウェインの人生観がにじみ出ているのかもしれません。
出資していた企業がつぶれて巨額の負債を負い、それを返済するためにひたすら講演旅行を続け、疲労困憊の中で追い打ちをかけるように長女が亡くなり、妻や三女が病気になり……。
そのような苦難の人生の中にあっても、いや、そうであるからこそ、彼は「笑い」の力を認めるのです。
そして、この物語で徹底的に人間を否定し、嘲笑(ちょうしょう)し続ける主人公サタンに、「笑いは人間が持つ唯一の武器だ」と言わせています。
マーク・トウェインの人生を知れば知るほど、この言葉の持つ意味の重要性を感じます。
非常事態ではまず「しっかり眠る」
仕事や公式の場では、ひたすら「真面目」が尊ばれ、「笑い」や「おふざけ」
焼き「いたずら心」などの遊び心はタブー視される傾向があります。
しかし、あらゆるイノベーションの生まれる素地は、じつはこうした遊び心からなのです。
逆に、額に青筋を立ててひたすら「真面目にせなあかん!」となったら、ロクなことになりません。視野が狭くなり、四角四面な発想しかできなくなります。
いい例が、東日本大震災のときのわが国の首相の対応です。
あのとき、首相は官邸のソファに寝泊まりをして、飲まず食わすで指揮をとっていた。それを知って私は、「これは、しんどいな」と思いました。
非常事態においては、大将は、しっかり眠り、たっぷり食べて、心身ともに健康な状態でいなければならない。
でないと、適切な判断ができません。
ところが、彼はその真逆をやっていたのです。「みんなががんばっているのだから、俺もがんばらなあかん」と思ったのかもしれませんが、発想が逆にです。
睡眠不足で、食事もロクにとらなければ、イライラしますし、怒鳴りたくもなるし、判断もブレやすくなります。
それで国を左右する判断をしようとしていたのですから、恐ろしいものです。
仕事でもプライベートでも、深刻にならないほうがいい。
落ち込むことがあったら、仲のいい友達や、あるいはパートナーとおいしいものを食べて、ゲラゲラ笑って、あとはぐっすり眠れば、悩みの7割くらいは解消できます。
「人生で落ち込んだときの過ごし方をアドバイスしてください」という質問にはいつもこう答えているのですが、質問者の方からは「僕は真面目に質問をしているんですよ」と言われたりします。
でも、これは私の真面目な答えなのです。
もしかすると質問者の方は、「この本を読んだら元気になる」といった具体的かつ安直な答えを期待されていたのかもしれません。
でも、疲れていたら本すら読めません。
本を読むにも体力が必要なのです。
それより、たくさん食べて、大いに笑って、ぐっすり眠ったほうがいい。
そして、スッキリしたら、翌日からまたゼロクリアにして一所懸命働くほうがいい。
真面目に考えすぎるのは不幸の元なのです。
