「感情」を直接的にコントロールすることはむずかしい。


とくに、いったん起こり、高ぶってしまった「感情」をコントロールすることは、かなりむずかしい。


しかし、そこに「行動」という要素を介在させると、「感情」の制御がききやすくなる。


「行動」を介在させて「行動」をコントロールすることによって、間接的に「感情」をコントロールしていく。


たとえば、怒りの場合を考えてみよう。

職場で部長から評価を下げられて、怒りの気持ちがムラムラと湧いてきたとする。


怒るのは大人気ないし、血圧が下がって心臓にも良くないから、怒りの感情を少しでも抑えたいところだ。


だが、いったん湧き起こった怒りを抑えられるかというと、それほど簡単ではない。


抑えようとすればするほど、「あの部長の野郎!」という気持ちが出てきて抑えられなくなってしまう。


怒りという「感情」が起こるのは自然な現象で、自分の意思の力だけでは簡単に抑えられない。


そこで、どうするのかといえば、怒りのあとに出てくる「行動」をコントロールしていくのだ。


怒りに任せて、部長に向かって「なんで僕の評価はこんなに低いんですか!」と声を荒げたりすれば、怒りの気持ちはエスカレートしていく。


部長も「おまえができないから評価を下げたんだ!」などと言い返すだろう。


すると、売り言葉に買い言葉で、「あんたの評価がおかしいんだよ!」とか「みんながあんたのことをなんて言ってるか知ってんのか!」などと、相手を攻撃する言葉がどんどん出てきてしまう。


そうすると怒りはいっそうエスカレートしていく。場合によっては怒りが抑えられなくなって、机をバンバンと叩いたり、部長に対して手が出てしまったりするかもしれない。


そうなったら、もはや取り返しがつかない。会社を辞めざるを得ない状況にまで追い込まれてしまう。


一方、部長に対してものすごい怒りを感じたとしても、別の行動をとる人もいる。


「あの部長の野郎!絶対に見返してやる!」と思って、いままで以上に仕事を頑張り、非常にいい仕事をして部長を「ギャフン!」と言わせる人もいるだろう。


このタイプの人は、怒りの感情そのものはなくなっていないものの、社会性を保ちながら望ましい方向に行動がコントロールされているので、良い結果を生みだす。


そうすると、「あの部長め、腹立たしいったら、ありゃしない!だけど、あの部長がおれの心に火をつけてくれたから、こんなにいい仕事ができたのかもしれない」と思うこともできるようになる。

こうして怒りの気持ちは抑制されていく。


両者ともに最初に湧き起こった怒りの衝動はコントロールできないが、その後の行動の違いによって、片方は怒りの感情がエスカレートしていき、片方は怒りの感情が減っている。


後者は間接的に感情をコントロールできているのである。