知人と言っても、お友達のお兄さんだから面識は無いんですけどね。74歳だそうです。
昨年の11月の日曜日、ゴルフ場で心筋梗塞を起こして救急車で運ばれました。
その時は意識もあり、まあ軽度と言えば軽度。
御殿場の病院に運ばれ、まずは血栓を取り除く手術。
一応うまくいって、1週間入院して帰宅。
ちょっと時間を置いて再手術…って段取りだったらしいです。
医者からは、しばらくは安静。少量のお酒はいいけど、タバコは絶対ダメと言い渡されたそうです。
その人は会社を経営している社長さんで、安静にって言われてるのに月曜の朝、さっそく出勤し、デスクの上に山積になった仕事を見てカーッと頭に血が上ったようです。
落ち着こうと、タバコを1本吸ってところで…2度目の発作。
近くの大学病院に運ばれたのだけど、医者からも『難しいかもしれない』と宣告されるぐらいの重症。
それでも、地域で一番の大学病院のICUで治療を受け、いつどうなるかわからない状況ながら、なんとか頑張っておられます。
ただ、その症状なんですよね。
ずっとICUに入りっきり。心臓は自発的には動かず、口には挿管、体中にチューブをつながれ、寝たきりです。体温はずっと38~39度。
ほとんど眠っているそうですが、たまに目覚めると水を欲しがる。
でも、誤嚥の怖れがあるから、口からは何も入れてはダメだとか。
喋れないから、文字板を指でさして意思疎通するのですが、『みず』『みず』と言っているそうです。
そしてある日、『しにたい』と指したとか。
医者に回復の可能性を聞いても『わからない』。
お友だちと弟は、そんな姿を見るのがつらくて、助かる見込みが無いのなら早く楽にしてあげたいと思うのですが、奥さんは、『いくらお金が掛かってもいいから死なせないで』。
決定権は奥さんにあるので、もうそれ以上は言えないそうです。
かれこれ2カ月以上。さすがにそろそろICUも出なければいけないみたい。
どうなるんでしょうねえ。
この話を聞いて、能天気な僕もちょっと考え込んでしまいました。
昔、手術で1晩ベッドに拘束されただけで、気が狂いそうになった僕。
そんな状況、とても耐えられそうにありません。
もし、治る見込みが無いのなら、無理な治療はせずに死なせてもらいたいと思うのです。
おりしも国会で、尊厳死法案が提出されるとか。
正式には『終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案』。
延命治療を望まない終末期の患者について、人工呼吸器の取り外しなどを認めようと言うのです。
もちろん、実際にそういう状況になれば、人の心も変わるのかもしれません。
まあでも、体中にチューブを繋がれてまで生きたくないと言うのは自然な気持ちだと思うのですがどうでしょう?