江戸城のお堀や上野の不忍池では、

夏に開いた花を落とした蓮がまだ群生している。

 

いまは。

曼殊沙華(まんじゅしゃげ)が、まだ、咲いている。

彼岸花(ひかんばな)ともいう。

赤く、派手な花で、毒をもつ。

赤く大きな花なので、咲いていると目立つ。

秋の彼岸ごろ、真赤な花が開花するするため彼岸花と呼ばれる。

毒があって、食べると死ぬ、

ということから「彼岸」の言葉があてられているともいう。

曼殊沙華はサンスクリッド語で赤い花という意味らしい。

 

曼殊沙華はお寺でよく見かける。

試しに、寺が多い本郷通りを本駒込の吉祥寺まで歩いてみる。

まず本郷の喜福寺の入口。

白山上まで行くと駒込土物市場跡がある寺に。

さらにそのすぐ北。

江戸五色不動の一つ目赤不動に。

ちなみに、江戸五色不動とは、

現在も地名として残る目黒、目白と、目黄、目青に、ここ目赤をあわせて言う。

 

彼我の頃は過ぎているが、曼殊沙華は、まだ、その赤い姿を人目に晒していた。

 

やがて、金木犀(きんもくせい)の頃に移る、

65歳のわたしには堀内孝雄の「君の瞳は1万ボルト」が思い出される。

地味な緑樹に、秋になると一斉に小さな黄色い花をつけ、

香水のような良い香りを放つ。

花より、まず香りがフワッと漂ってくるので、開花に気づき、

すくに「君の瞳は1万ボルト」の歌詞が脳裏に浮かび、

気分がやわらぐ。

金木犀については、またあらためて、レポートしたい。