さる大店の番頭が、春の日に奉公に来ている娘さんが寝ている二階へ鼠入らずを踏み台代わりにして忍び込んで、まんまと嫁にすることが出来た。という『引越の夢』の二番煎じな噺、ではありません。(^^)
ねずみいらず[4]【鼠▼入らず】
鼠がはいれないように作った,食物や食器をしまう厨子 (ずし)様の頑丈な戸棚。
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速記本「文芸倶楽部」1900年(明治33年)6巻4号(3月1日号)に即席三題噺と題して掲載されました。
これも今では絶滅、というかまず鼠不入(鼠入らず)が現代では通じなくなってます。『引越の夢』は吊り戸棚ですが引き違い戸の頑丈な戸棚も鼠入らずといいました。
「鼠入らず」だけではなく、この噺はほかにも現代では通じない言葉が多いので今後誰も手掛けないでしょう。三題いただいて圓喬がその場で拵えた短い噺、全文掲載いたします。
サゲも分かりづれぇ~!!! (^^) それに当時はともかく現代で演れば、ポリコレ界隈の人たちから「女性をそれも妊婦を鼠にたとえるとは何事!」と叩かれそうな内容ですね。
嫁が君(よめがきみ)
「新年-動物」の季語
正月三が日に鼠を呼ぶ忌み名。関西地方のことばという。嫁御(よめご)・嫁御前・嫁女などと呼ぶ地方もある。鼠は大黒様の使いとして、米や餅を供えるなど、正月にもてなす習俗も広く行われていた。
明くる夜も ほのかに嬉し よめが君 其角
三宝に 登りて追はれ 嫁が君 高浜虚子
どこからか 日のさす閨(ねや)や 嫁が君 村上鬼城
ぬば玉の 閨かいまみぬ 嫁が君 芝不器男
囓られし 写楽の顔や 嫁が君 阿波野青畝
嫁が君 この家の勝手 知りつくし 轡田進
嫁が君 全き姿 見られけり 野口里井
合本 俳句歳時記 第四版 (C) 株式会社角川学芸出版 2008
明治後期の新作で三遊亭園左(小泉熊山)のネタ、三井財閥の益田太郎冠者作『かんしゃく』にも少々似ておりますね。もちろんこの圓喬の三題噺の方が先です。
ちなみに三井財閥は三題噺の会(酔狂連)を真似て催した三題噺会で師匠圓朝を幇間のように扱いました。師匠思いの圓喬は生涯にわたって三井の宴席を生涯断り続けました。
鼠の懸賞の引換券です