理:ほんとに大丈夫?

 

由:うん

 

理:じゃあ、呼んでくるね

 

由:...うん

 

 

これ着ときな、っと言ってクローゼットから

出してきたパーカーを私に着せて、理佐は部屋を出て行った

 

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

愛:え~っと...ゆいちゃん?入って大丈夫?

 

由:...うん

 

 

やっぱり少し怖くなって、深くかぶったパーカーの

紐を思わずぎゅっと握りしめる

 

 

ガチャ

 

 

愛:失礼しまーす

  

由:・・・

 

愛:え~っと、私、志田愛佳

  一応おんなじクラスだよ

 

由:うん...

 

愛:さっきは驚かせちゃってごめんね?

 

由:うん...

 

愛:あのさ、単刀直入に言うね

  私、由依ちゃんと友達になりたくてさ

 

由:え...?

 

愛:あ、ごめん

  こんな急に言われても無理ってなるよね

 

由:や、そんなこと初めていわれたから...

 

愛:ほんと?

  やった、由依ちゃんの一番もらっちゃった~

 

由:ふふ笑

 

 

びっくりした

この人の前では自然と言葉がでてきたし、

自分が思わず笑ってしまったことにも驚いた

 

 

愛:あのね、理佐はどうせ自分が私との約束忘れてた

  とか言ってると思うけど、違うんだ

  私が急に押し掛けたの

 

 

 

それから志田さんは

小学校の頃に親が離婚して、今は父親と2人暮らししていること、

その父親に家で虐待されていること、

休日になると、父親の暴力から逃げるためによく理佐の家に来ること

を話してくれた

 

 

由:そっか...

 

愛:...ゆいちゃんは優しいね

 

由:え...?なんで?

 

愛:だって私のために泣いてくれた

 

由:え...

 

 

いつの間にか泣いていた

久しぶりに理佐以外の人と話して感情が動いたせいか

この人の痛みを考えると辛くて、怖くて、涙が自然と溢れていた

 

 

愛:ありがとう

  

由:わ、私はただ、志田さんの話を聞いてたら勝手に涙が...

 

愛:由依ちゃんには心の痛みがわかるんだね

  じゃあ、たぶん由依の心も傷だらけなんだろうね

 

由:・・・

 

 

別にこの人が嫌いなわけじゃない

直感的に、同じ空間にいられるとは思った

でも、まだ私の心の傷には、

理佐以外触れられないと思ったし、

触れてほしくないと思った

 

きっと志田さんにも伝わったと思う 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛:じゃあさ、由依って呼んでもいい?

 

由:うん

 

愛:やった~

  ねぇ、由依さ...

 

由:ん?

 

愛:めっちゃ好みの顔してるんだよね、

  マジでかわいい!!

 

由:っふ笑

 

愛:ほら、笑った顔もめっちゃ可愛い~

 

由:も~笑

 

 

コンコン

 

理:入るよ~

 

由:あ、理佐

  

理:どう?仲良くなれた?

 

愛:ばっちりね

  由依めっちゃ可愛いんだけど

  やばい、妹にしたいわ

 

理:だって~ゆい笑

 

由:ん

 

愛:え、嫌われた?

 

理:大丈夫だよ笑

  すっごい照れてる

 

愛:え~照れ隠し?

  何それ可愛いんですけど

 

由:...

 

理:ちょっと愛佳笑

  よかったね、ゆい

 

由:ん

 

愛:ねぇ、理佐

  2人でこの可愛い生き物守ってこ!

 

理:何それw

 

 

 

 

 

 

 

 

これが初めての友達ができた記念日。なんてね笑