最後の裁判の日、
私は姉と姪っ子と実家で過ごし、
父と母は裁判所へ傍聴しに行っていた。
(毎回父と母は傍聴しに行き、その度に姉や妹に自宅に一緒にいてもらっていた。)
父とはそもそも口をきいていなかったが、
母は傍聴しに行っても、私が城田先生から裁判の内容を聞くまでは、何も話してこなかった。
(これで私が父とまともに口を利いていたら、
父は裁判の傍聴から帰ってくる度に、私に裁判の内容を、
ドラマを見ているような感覚で嬉しそうに語ってきただろう。)
ただ、その日はなかなか城田先生からの連絡がなく、
判決がどうなったのかずっと気になっていた私は、
パニック発作を起こしてしまい、別室でずっと横になっていた。
私の様子を見に来た母に、
「ちょっと先生からの連絡が気になっちゃって………落ち着かなくて………動悸が治まらなくて…………。」
と言ったら母は、この時初めて城田先生より先に裁判の内容を話した。
母「七菜子…………執行猶予がつかずに、ちゃんと実刑判決が出たから。
アイツは刑務所で罰を受ける。
先生からもそういう連絡が入るからね。」
私はこの母の言葉に、
執行猶予がつかなかったことに安心し、
涙が止まらなかった。
数時間後、城田先生から連絡が入り、
「懲役2年6ヶ月。
求刑より少し年数が少なくなりましたが、執行猶予がつかなくてよかったです。
また、被告人が控訴する可能性があるので、その場合にはまた連絡します。」
と伝えられた。
*結局犯人は控訴しなかった。
私は先生のメールを見て、改めて判決の内容を知り、
「あたしはあんなに辛い思いをしたのに、アイツはたった2年半で出てくるんだ…………。」
「アイツが出所した2年半後、あたしはまともに生きてるのだろうか…………。」
と、悔しくて涙が止まらなかった。