私は佐々木先生に、





「まだ証人尋問は確定ではないが、もし証人尋問になった時、裁判所へ行くどころか、まともに受け答えも出来ず、発作を起こしてしまうかもしれない」




という相談をした。






佐々木先生「もし証人尋問になるとしたら、裁判所への交通手段は何になりますか?」





私「電車に乗れないので、多分母に車で送り迎えになると思います。」






佐々木先生「もしそうなった場合には、早めに家を出て、発作が起きそうになったら、少し休憩を取りながら行った方がいいかもしれないですね。」






私「もし裁判所にたどり着けたとしても、証人尋問中、パニック発作を起こしてしまいそうで…………まともに受け答え出来るとは思えないです…………。」








佐々木先生「私は性被害にあわれた方が、証人尋問を受けているところを何回も見ているのですが、皆さん証人尋問中に過呼吸やパニック発作を起こしてしまう人ってたくさんいるんですよ。

そういった場合、一旦休廷して、被害者の体調が落ち着いたらまた再開するっていうこともたくさんありますので…………」






これを聞いた私は、日本という国は、被害者に対して本当に容赦のない国だと改めて思った。





私たち性被害者は、性被害にあった時点で死ぬほど嫌な思いをしている。







そして、何度も警察の事情聴取を行い、




検察庁でも拷問並みの取り調べを受けて、




さらに法廷の証人尋問では、加害者側の弁護士からも何度も事件の内容を質問責めにされる。






被害者が過呼吸を起こそうが、



気を失いようが、



自殺未遂しようが関係なく、



被害者を追い詰めることしか考えていないんだと、心底この国が嫌になった。






佐々木先生「多分、橘さんが証人尋問になる場合、ビデオリンク方式になると思うんですよ。
(別室でモニター越しで証人尋問を行うシステム)

その時多分、側に橘さんの弁護士さんがいると思うので、その場に私(佐々木先生)が同席しても問題ないかどうか、弁護士さんに確認してもらってもいいですか?

多分、自分の体調を分かっている人が側にいた方が、気持ち的にも大分違うと思うので。」






私は佐々木先生のこの言葉に非常に救われた。





まだ同席してもいいか確認は取れていないが、もし、佐々木先生がいてくれたら、とても心強いと思った。





私「分かりました。後で先生に聞いてみます。」






私がこう言った後、先生は「無理はしないように」「やりたくないことはやらなくていい」などと言って、私を気遣った後電話を切った。







ちなみにこの時、他の性被害にあわれた方はどのようにして克服しているのか聞いたところ、





「被害の内容も違えば、被害者本人の性格や感じ方、回復に掛かる時間も全く異なるので、本当に何とも言えない。」




と、佐々木先生は申し訳なさそうに答えた。




佐々木先生は「本当に何とも言えない」と思って言ったのもあるのだろうが、





例えば、佐々木先生が私に




「3ヶ月もすれば一人で外出できてる人の方が多いですよ。」




と言えば、私は




「じゃあ3ヶ月経っても一人で外出できないあたしはゴミカスなんだな。」




と自分を責めかねないと思ったから"何とも言えなかった"のもあるのだろう。





私は佐々木先生と出会えて、本当によかった。