刑事の日村さんとの電話を切った後、数時間後、弁護士の城田先生からメールが入った。






メールの内容は、






余罪は10件以上だが、犯人が誰を撮影したかを教えないので、被害者が誰なのかが全く分かっていないことや、







犯人の職業や年齢、家族構成などが書かれており、「元医療従事者なので、それなりに慰謝料は取れると思います。」とのことだった。











また、犯人に謝罪文を私(被害者)宛に書かせることも、向こうの弁護士と約束し、







謝罪文が城田先生の方に届いたら、手紙の全文を私に見せるのではなく、








私の精神的負担を少しでも軽くするために、城田先生が一部文章を抜粋したものをメールするという約束をした。  







謝罪文は加害者に書かせても、必ず受け取らなければいけないものではなく、「受け取れなかった」と突き返すことも出来るらしい。









最後に城田先生から、「検察庁からの調書を読みましたが、全く反省してるようには思えませんでした。」







と文章に添えられていた。







お世話になった刑事さんたち同様、弁護士さんからも反省の様子は全く見えていないらしい。








私は会って数時間で、城田先生がこんなにしてくれているとは思わなかったので、驚きと感謝の気持ちでいっぱいになった。








慰謝料の金額については、





「出来るだけ多くアイツから取ってやりたい」






という気持ちよりも、






「証人尋問がなく、早く裁判が終わればそれでいい」







という気持ちの方が強かった。






仮に、100万円だろうが、500万円だろうが、私の人生は返ってこないし、その金で何が出来るのだろうか。









国民年金や国民健康保険を払ったり、病院に通院しているだけで、一瞬でなくなってしまう。








私は事件の被害前から無職だったが、コイツのせいで再就職の道は遠退いたし、








一人で出掛けることも出来なければ、





文字を読むことさえ非常に苦痛なため、





いつになったら就職し、





事件のあった実家を出て独り暮らしが出来るのだろうか。







私は事件のあった実家を出たい。








そのための引っ越しの費用や、再就職までの資金、精神科の医療費や通院費などを請求すると、億単位になるだろう。







そして、こんな奴には億単位の慰謝料を払えるはずがない。






慰謝料の額は多ければ多い方が、被害者は少しは安心するかもしれないが、一生死ぬまで苦しんでいかなければいけない。








私は事件の被害にあった日から、一生死ぬまで苦しんで生きるか、死にたくなったら自殺するかの2択しかなかった。









一生苦しむ覚悟はしていたが、まさか数日後、






七菜子に話しかけるな







と母に言われていた父が、私を2度目のサンドバッグにするとは思ってもいなかった。