城田先生に電話でアポを取って数日後、私は母が運転する車で法律事務所に向かった。
私は発作を起こさないか心配になり、車に乗る前に安定剤を2種類飲んだ。
法律事務所に着き、私は城田先生がどんな先生なのか、
私の気持ちを理解してくれるような先生なのか会うまで不安だったが、先生は私の不安に反して物腰の柔らかい女性だった。
私は母と並んで座り、向かい側に城田先生ともう一人、若い女性の弁護士の赤井先生(仮名)が勉強もかねて同席した。
城田先生「実は◯◯警察署から送られてきた資料には、事件の内容は3~4行くらいのことしか書いてないので、私もまだ詳細は分かっていないんですね。」
私は事件の内容と、先生に聞きたいことなどを書いたコピー用紙を先生に渡した。
事件の内容を読む前に、先生は私が知りたかった質問事項について話してくれた。
証人尋問についてや、国選弁護人を雇う費用など、こと細かく教えてくれた。
また、犯人に対し、慰謝料はどれくらい請求できるのかを聞くと、城田先生は
「どんな仕事をしていた人なんですか?犯人の職業によって慰謝料を請求できる額も変わってくるので。」
と訊いてきた。
この時私も母も、犯人の職業は知らなかったので、母と顔を合わせながら、
私「まだ私たちも教えてもらっていなくて。
平日の昼間にうちに来たので、もしかしたらシフト制とか、日勤と夜勤の交代制で働くような仕事をしているのかなと思うんですけど。」
城田先生「仕事の昼休み中に、女性の家に入って嫌なことをする人も結構いるので………」
まさか社会人にとって貴重な昼休みに、女性に性暴力をふるっているようなイカれた奴がいることに、心底嫌気が差した。
城田先生「あと、証拠があれば一番いいんですよね。」
私「私の下着は出てきたんですけど、画像だけまだ出てきていなくて……………。
他の女性の画像はたくさん出てきてるみたいなんですけど。」
と言った瞬間、城田先生と赤井先生は目を丸くして驚き、
城田先生「なおさら一日でも長く刑務所に居てもらわないと!
私が国選弁護人になります。」
と言って、この素晴らしい弁護士さんは私の国選弁護人になってくれた。
ちなみにこの時点で、日本の女性の弁護士は2割しか居ないらしく、私は城田先生を国選弁護人に雇えて本当に良かったと、後々思うことになる。
その後、いろんな書類にサインや押印をし、法律事務所を行き来しなくても済むよう、先生のメールアドレスと電話番号を交換した。
私はこの日、初対面の弁護士さんと会い、非常に疲れたのと、国選弁護人を見つけられたことで、少し胸が軽くなっていた。