検事は続けて私を追い詰めるように、過呼吸について質問してきた。
検事「普段どのような時に過呼吸を起こすのでしょうか?」
私「仕事で上司に追い詰められた時や、辛いことを思い出した時……………後は、暗いニュースを見ている時とかです。」
検事「お母様からは、『言いにくいことを言いたくても言えない時』に過呼吸になると伺いましたが?」
私「あ、そうです。」
検事「事件の時、過呼吸はだいたい何分間くらい起きていましたか?」
私「ええと……………」
「そんなの分かんねぇよ。」と思っていると、検事は机を叩き始め、
バン、バン、バン、バン
検事「これが1秒感覚です。だいたいどのくらい過呼吸を起こしていましたか?」
と、机を叩いて秒単位のリズムを刻みながら聞いてきた。
私「多分1分くらいです………」
検事「過呼吸の呼吸の早さはどのくらいでしたか?」
私「…………ものすごく早い感覚です。」
検事「具体的にはどのくらいの速さですか?」
「ハアハアハアハアハアハアハア
ハッハッハッハ
と、これをもっと早く大きくした感じです。」
と、実際に過呼吸を起こしたときの再現をし、
一瞬検事も秘書の工藤さんも、後ろにいてくれた吉本さんも、
私が質問責めにされ、
本当に過呼吸を起こしたのかと思い、めちゃくちゃ驚いていたが、
検事「ありがとうございます。ものすごく分かりやすかったです。」
と言っていた。
幸い検事との取り調べの内容は録音されているので、もう過呼吸の演技をすることはないだろう。
この2時間の拷問を受け、
検事に犯人に対する思いを泣きながら話し、
内容をタイピングしてもらい、この日の取り調べは終わった。
終わる頃には私は汗だくになり、体は震え、立ち上がるのがやっとだった。
最後に検事は
「次の取り調べは最後になりますので、また細かく伺います。」
と言った。
私は
「いや、もう話すことある訳ねぇだろ。」
と思い、次の取り調べまでにどうやって死のうか考えていた。