犯人逮捕数日後、
私は夕方の6時頃に検察庁まで、母と一緒に刑事の松尾さん(男性)と吉本さん(女性)に車で送迎してもらった。
正直刑事さんたちは、犯人が逮捕されたら関わることはほぼないと思っていたので、自宅から検察庁まで送迎してくれると思わなかった。
車の中で松尾さんは
「こんな暗い時間に被害者呼び出しやがって…………怖いよね?」
と気を遣ってくれた。
検察庁に入り、待合室で待っていると、また松尾さんが、
「何で被害者がこんな思いしなきゃいけねぇんだよ!犯罪者は全員ブッ殺しちまえばいいんだよ!」
と言ってくれたのが非常に嬉しかった。
すると間もなくして、
「橘さん」
と知らない男性に呼ばれ、母と吉本さんと一緒に検事のいる取調室に案内された。
その男性は秘書の工藤さん(仮名)というらしい。
部屋に入ると男性の検事さんが待っていた。
「はじめまして。検事の木村(仮名)といいます。これから長い付き合いになると思うのでよろしくお願いします。」
と言われ、一気に胃が痛くなった。
木村さん「犯人はこの部屋で取り調べをしましたが、犯行は認めたけれども、犯行の動機など、全てを黙秘しています。」
私は犯人が黙秘していることにも非常にイラついたが、
犯人が入ったこの狭い部屋で、
事件の詳細を話すことが、冷や汗が大量に出て心拍数が上がるのを感じるほど嫌だった。
木村さん「あと、犯人は前科はないんですが、過去に迷惑防止条例が出ています。また、結婚して子供が4人います。仕事もしています。」
私は耳を疑うほど驚いた。
平日の昼間から他人の家に、下着と下着1枚の写真を撮っていくようなバカは当然無職だと思っていたし、
ましてや結婚して子供までいるとは思わなかった。
木村さん「犯人が事件当時所持していた携帯の画像には、橘さんの画像はまだ出てきてないんですよ。
専門に解析は頼んでいます。他の携帯や小型カメラには、橘さんほどひどい画像は出てきてないんですが、他の女性の画像は何件も出てきました。」
やはり犯人には余罪があった。
私は一番の証拠となる私の画像が出てこないことが一番悔しかった。